表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まもりたい  作者: おざきひより
ーMy first loveー
1/3

ぼく。

平凡で、面白みなんてものがないように思えた僕の生活。


君に出会って、僕ははじめて誰かを本気で


「守る」


っていうことを知ったんだ。



小さくて、今にも壊れそうな手をめいっぱい僕に振りながら顔をくしゃくしゃにして笑う君を、ずっとずっと愛していたい。



小さな幸せ、大きな幸せ。

なんでもいい。

君がいつまでも幸せでいられますように。



君と僕が、もしも何かに引き離されそうになっても絶対に離さない。

だから、ずっとその笑顔でいろよ。


雪がちらつく12月。

この寒い中、排気ガスで汚れた街を行き交う毎日、普通に過ごす人々。


僕もそのなかの一人だ。


冷えきったポケットのなかで音が鳴る。



プルルル……プルルル…


「はいもしもし。…はい…わかりました。」


上司の命令で足早になる。

少しうつむきながら、急いで会社に向かう。



柏木 信(かしわぎ まこと)25歳。

ピカピカの新人で、ピカピカのスーツを全身にまとったまったくつまらない男だ。



朝から友達とはしゃぐ元気なギャルがうらやましく思う。

毎日、誰かの言いなりで行動して誰かの機嫌を取りながら過ごす。

休日は、用事もなければ仕事もない。


宅配ピザを片手に雑誌や広告を見たりする。



もしここで倒れたって誰も気づかない。

死んだってわかりゃしないんだ。

こんな自分にも、何か起こるのだろうか。


誰かが僕に、だぁーーいすきっ


……なんて、言ってくるような日が来るのだろうか。


ロマンチックでドラマチックなそんな夢物語みたいな生活、僕には遠い存在だ。


働いた成果を褒めてくれるような人なんていない。

親でさえ、早く恩を返せだの仕送りまだかだの言っていつまでも応援なんてしてはくれない。



「ふっ………」

ため息混じりの鼻笑いしか出ない。



取り柄のない僕は、

信号待ちで聴こえる隣に立つ人のイヤホンからもれた微かなバラードに浸った。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ