絶望の始まり
教室の外には化け物はいなかった、
奇跡かと思えたくらいだった
僕たちは先に進んだ
教室を後にした僕たちは先頭から僕、千里、堀木さん、海斗の順に並び進んだ
悲鳴が聞こえないところを見ると、みんな無事に生きているのか…逆に僕たちしかいないのか…
「あ、これ…渡しとくね」
千里が僕に渡したのは鏡だった
「なるほど、曲がった先でバッタリなんてことは避けたいからね」
実際、鏡は役に立った
危険をおかすことなく進むことができた、未知の生き物にばったり遭遇したら最後、僕たちには対処法がない
「この道にも…いますね…」
「何とかして先に進めないもんかねぇ」
学校には確認できただけでも3体〜5体、昇降口に向かう道は完全に潰されていた
「…外に出れば」
窓から確認できただけでも、外には散り散りに散っている、それに、密集されていない。
ここよりかは安全だろう
「あ、動いたよ」
奇跡か、昇降口とは真逆の方向に進んでいった
「今しかない、行こう!」
階段までたどり着いたとき
「待って!」
千里が呼び止めた
「あの方向…私たちの教室が…もしかしたら!!」
可能性はないこともない、助けにいかなきゃいけない…
でも、今を逃したら…もしかすると…
「行くしかないよ…」
千里は走り出そうとした
それを海斗が止めた
「行って、何ができる…」
現実を押し付けられた
行って助けることができるなら、こんなにこそこそと行動はしないだろう
僕らはあまりに非力で、無知で…
「それでもっ!!」
千里はそれでも譲らなかった
その時
パァン!!
海斗が千里に平手打ちをした
「俺も男だ、それに人間だ、できれば俺だって助けてやりたいよ!お前の気持ちだってわかるよ!でも俺たちには何もできやしないんだ!!」
「………」
「今の俺たちにできるのは、生きること、少しでも長く生き延びること…それだけなんだ」
千里は泣いていた、それは人を助けられない悔しさや、現実の理不尽の涙とは違うものだろう
「でもな、助けられる命は助けよう、今、俺に助けられる命はお前たちなんだ…わかってくれ…」
千里は黙って頷き、階段を降りた
聞きなれた声の悲鳴を背中に受け進んだ
この時誰もが実感しただろう…
この先、家族や恋人が目の前で殺されるのを黙ってみることしかできない、助けられないという絶望を…
僕らは、学校を出た…
もう戻ることのない学校を後にした
最後に見えた、僕らの教室の窓は、真っ赤に染まって、染まって、染まりすぎて、所々、黒くなっていた




