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【連載版】俺、また馬に生まれました  作者: 猫のアミーゴ


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第16話 スイートポテトってなんだっけ?

おっさんに毎日、頭から水をかけてもらうの、最高。

そんな気候になってきた。

エースは夏のグランプリで優勝したらしい。

無事に放牧の権利を勝ち取ったようだ。

エースは旅立っていった。

うらやましい。

カイザーは、グランプリ走ったのかな。

まったく記憶がない。


最近は、まず障害コースを2周してから、ジャンプのフォームをチェック。

坂路を走って、森林馬道にねだりまくって、できる限り付き合ってもらう。

そんな日々を過ごしている。

「スーやんは、体が丈夫すぎる。鍛えれば鍛えるほどスタミナがついていくね」

あんちゃんとおっさん、それに久しぶりに見かけたノブさんが話している。

『あなたは丈夫な馬に育つわ。』

母ちゃんのことを、俺は思い出した。

「調教メニューが厳しすぎると思うのですが、異常もなく元気ですね。回復もはやい。」

「スーやんが、走りたがるんですよね」

「過去にも馬房で歩き続けた馬もいましたし、体調に問題なければ、重い調教でもいいかもしれない」

俺の話?

おっさんの横から顔を出したら、おっさんがリンゴ飴をくれた。

かりかり……。

これ、おいしすぎる。

早く食べても、おっさんは過剰にくれることがない。

俺は大事に、大事に、味わう。


パドックをぐるぐると回る。

すでにちょっと汗がでてきている。前の馬は、かなり汗かいている。

暑いの苦手なのかな。

横からミストが吹き付けられる。気持ちいいなぁ。

気のせいか、こちらを見ている観客が多い気がする。

エースがグランプリ勝ったからかなー。


パドックが終わると、あんちゃんが俺のところに駆け寄ってくる。

ノブさんとタナカさんも、それぞれ別の馬に騎乗した。

今日は、ノブさんとタナカさんも、ライバルなんだね。


あんちゃんとコースを見て回る。コースの途中に小さな山がある。

全力で走るところじゃなければ、気持ちいいんだろうなぁ。

俺の特訓の成果が試せるところだ。気合を入れる。


ゲートに誘導され、今日は集中して待つ。

ガシャン!! 俺は勢いよく飛び出した。

いいスタートが切れた。俺は先頭に立つ。下り坂でスピードが乗る。

すぐに、竹柵ちくさく障害が迫ってくる。

後ろで減速する気配がした。チャンス、俺はジャンプで後続を少し突き放す。

コーナーに入ると、カーブの途中にハードル障害がある。斜めに飛んでいく。


スタンド前で歓声があがる。

「スイートポテト―ーー!!!」「変顔して―――!」

なんか変な声援があがってる。

あんちゃん、ゴーグルで顔隠れてるのに無理をいうねー。

コーナー前の障害を飛ぶ。

コーナーを曲がり終えると、あんちゃんの合図で、すぐにコースを横切る直線に入っていく。

この先は、さっき見た小山みたいなバンケットだ。

全力で駆け上がる。そして一気に下っていく。

元のコースに戻る。けど、狭い。

あんちゃんの合図だと、スタートとは逆回りになる。

逆にまわるの?!

俺が先頭だから、前の馬はいない。

俺はあんちゃんを信じる。

指示通りに元のコースを逆回りに進む。



カーブの途中にある障害を再び飛び越えて、コーナーを抜ける。

抜けた先には、障害が連続して待ち受けていた。

1つ、2つ、3つ。俺はリズムよく、飛んでいく。

次のコーナーへ向かう。

カーブの途中なのに、後ろの馬のペースが上がってくるのを蹄音で感じた。

あんちゃんから、GOサインが出る。ゴールが近いんだ。

スタミナは十分、俺は後ろを振り切るつもりで、全力で逃げだした。

カーブの先には、障害があった。おそらく最後の障害だ。

タナカさん仕込みのきれいなフォームで俺は飛ぶ。

次の一歩が、スムーズに踏み出せるジャンプだ。

ゴールが見えた。200メートル。

ここからは、スピードと根性の勝負だ。

まだ、後続は体ふたつ分以上、離れている。

俺は全力で走る。近づく蹄音。あと100メートル。

近い。後ろで息遣いが聞こえる。あと50メートル。

俺はスピードを落とさない。まだスタミナだけはあるんだ。

息遣いが少し、遠のいたように感じた瞬間、俺はゴール板を駆け抜けた。


あんちゃんが、俺の頭をなでる。

「すうううやん。やったよ。」

俺は『すうううやん』じゃない。

観客席から

「スイートポテトー!!変顔して――」

あんちゃん、ゴーグルとって、ファンサやってあげなよ。

スイートポテトってなんだっけ?

聞いたことあるような……。


俺は1着だった。

検量室けんりょうしつ前で、おっさんが、ふかしたサツマイモをくれた。

柔らかい!?ほんのり甘い。

「スーやん、ファンからのプレゼントだよ」

俺は口の中でイモの繊維が解けていくのをじっくり味わった。

これはリンゴ以上かもしれない。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


面白かったと思っていただけたら、☆をポチッとしてもらえると嬉しいです。


スーやんには内緒でお願いします。

本人は☆よりリンゴを要求すると思うので。

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