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倒産中年社長、異世界で孤児達と逆転再生経営!  作者: 神永ちろる


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祭りの後

オマケで1話投稿いたします。

第51話 祭りの後


祭りの後は、いつだって静かだ。

だが、ここまでとは思わなかった。


マルペン商会は――


不渡り手形を出し、倒産となった。

銀行からの通達は簡潔だった。

支払日までに金貨三百枚の決済ができず、 信用失墜により口座凍結。


「……納得いかない。」


社長は低く呟いた。


「金貨三百枚を、なぜ返せなかった?」


経理課長は蒼白な顔で言う。


「残高は、十分にありました。私は確かに確認しております。」


記憶はある。

確かにあった。

開発資金を差し引いても、 余裕はあったはずだ。

銀行へ向かった。

窓口で口座を確認する。

提示された数字を見て、言葉を失った。

ほぼ、ゼロ。


「……なぜだ。」


「不渡り処理に伴い、差し押さえおよび引き落としが行われました。」


事務的な説明。


だが、それ以前に残高が消えている。


問い詰めても、 銀行は「記録通りです。」の一点張りだった。


社長は無言で自分の私財から金貨三百枚を取り出した。

そして取引先へ向かう。


「ニーデル様、大変申し訳ありません。」


「マルペンさん、いったいどうなってるんです?返済日まで音信不通で。」


「嵐で帝国からの船が欠航し、帰りが遅れました。」


「……そうですか。しかし本当に困りますよ。」


「この度は、まことに申し訳ない。」


深く、頭を下げる。

金貨三百枚を渡す。

信用は、金より重い。


だが一度割れた信用は、元には戻らない。

屋敷に戻る頃には、身体が鉛のように重かった。

執事長が出迎える。


「旦那様、いったいどうなさっておられたのですか。」


「嵐で欠航だ。手紙も出した。」


「まだ届いておりません。」


嵐の影響か。


いや――それだけか?

居間で茶を口にする。

温かいはずなのに、味がしない。


「旅行に出られた後のことです。」


執事長は慎重に言葉を選んだ。


「社長が女と会社を捨て、帝国へ逃げたという噂が広まりました。」


「……馬鹿な。」


「社員の一人が触れ回ったようでございます。」


その名を聞いた瞬間、社長の眉が動く。

あの男か。

酒場でよく愚痴をこぼしていた、販売課長。


「その後、どうなった。」


「混乱の中、倉庫の品、資材、金庫の現金が持ち出されました。」


「……略奪か。」


「はい。」


信じられない。

あれほど育て、 あれほど任せた者たちが。


「なぜ、そんな話を信じた?」


「不安があったのでしょう。旦那様は慈善に傾きすぎる、と。」


妻たちも青ざめている。


「口座の金がゼロだった。何か知らないか。」


「存じません。」


部屋が急に遠くなった。

耳鳴り。

視界が揺れる。

あれほど積み上げたものが、 一ヶ月で崩れた。


(俺は……何を間違えた?)


立ち上がろうとした瞬間、 足に力が入らなかった。

床が近づく。

遠くで誰かの叫ぶ声。

医者の診断は簡潔だった。


「過労。そして心臓が弱っております。」


社長は寝台で天井を見つめた。

孤児を救い、 社員を育て、 商会を拡大し、 結婚し、 未来を信じた。


祭りの後。

残ったのは、静寂だけだった。

高評価ブックマークよかったら励みになりますので、よろしくお願いします。


今の仕事場はパワハラされたので、今月いっぱいで今の仕事を辞め、4月から違う仕事場へ行きます。

メンタルクリニックで別の事に没頭すれば、回復できると先生に言われました。その通りでした。

3月に小説を投稿したら、かなり回復して来ました。投稿なんか止めといた方が良いと以前は思ってましたね。投稿して良かった。

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