表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
倒産中年社長、異世界で孤児達と逆転再生経営!  作者: 神永ちろる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/91

新婚旅行編Ⅱ 三人で甲板に立ち、海を眺める。

第49話 三人で甲板に立ち、海を眺める。


穏やかな波。 白い鳥が帆の上を横切る。


「カモメか?」


社長は目を細める。

青い空。 風に膨らむ白い帆。 ゆっくりと進む巨大な帆船。


(海の博物館で見たことはあるが……実際に動いているのは初めてだ)


馬車ごと船に積み込まれたときは、思わず船体を見上げた。


(排水量は何トンだ? 乗員は何人だ?)


癖だ。

どうしても構造や仕組みを考えてしまう。


「あなた、顔が仕事の顔ですよ?」


横から経理課長が睨む。


「いやいや、純粋に感動してるだけだ。」


秘書は風に髪を揺らしながら、ただ嬉しそうに笑っていた。

船内は意外と快適だった。

ラウンジで休憩。 自室でお茶。 レストランで食事。


演奏員が弦楽器を奏でる。 甲板にはテーブルと椅子が並び、乗客たちがのんびりと海を眺める。

初日は、それだけで十分だった。


だが。

二日目。 三日目。

社長は落ち着かなくなる。

護衛四人。 執事二名。 メイド二名。


「多すぎる。」


出発前、社長は言った。

だが二人の妻は譲らなかった。


「帝国は治安が悪いと聞いています。」


「むしろ増やしたいくらいです。」


結果、この人数になった。

客船とはいえ、娯楽施設はほとんどない。

レストラン。 酒場。 ラウンジ。

あとは演奏。

退屈だ。


(……レコードなら簡単に作れるな)


ふと思いつく。

音を刻む。 円盤。 再生機構。

メモ帳を取り出す。

さらさらと書き込む。


「あなた!」


経理課長の声が鋭い。


「また仕事ですか!」


「いや、これは文化の発展というか……。」


「休み中は仕事禁止です。」


没収。

社長は肩を落とす。

思いついたら書かないと忘れるのだ。

だが。

こうして叱られるのも、悪くない。

暇をもて余す。 発明を思いつく。 メモする。 怒られる。

それを繰り返す。


(こんなに何もしない時間、何年ぶりだ?)


商会を立ち上げてから、常に走り続けてきた。

資金。 裏切り。 魔物。 貴族。 孤児。

止まれば崩れる。

そんな毎日だった。

だが今は違う。

ただ海を眺めている。

隣には妻がいる。


「幸せですね。」


秘書がぽつりと言う。

社長は答えず、海を見る。

幸せ。

たしかにそうだ。

だが胸の奥に、ほんの少しだけ、ざわつくものがある。


自分がいない間。 商会は。

大丈夫だろうか?

いや、任せたのだ。 信じろ。


社長は自分に言い聞かせた。

出港から七日目。

水平線の向こうに、巨大な港湾都市が姿を現す。


「帝国だ……。」


イナーク帝国。

石造りの建物。 林立する煙突。 巨大な造船ドック。 忙しく行き交う船。

発展の匂いがする。

社長の目が輝いた。


「面白そうだな……。」


経理課長が小さくため息をつく。


「ほら、また仕事の顔。」


船はゆっくりと接岸する。


七日間の穏やかな船旅。

天気にも恵まれ、最高の旅だった。


まだ、何も起きていない。

本当に、何も。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

もし少しでも続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや評価【★★★★★】で応援していただけると嬉しいです!

すごく励みになります!



スマホで小説書いてるんですが、これが思いついたときすぐ書けていいんだけど、かなり長文だと疲れます。

最近は畳める無線キーボードを買ったので、大変便利に使ってます。

スマホスタンドは手製プラダンスタンドにしてます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ