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少年は目を輝かす
閑話 少年は目を輝かす
孤児の中に、人一倍無口な子がいた。栗毛で、名前はタクト。
タクトは、ヤマタニが仕事をしている姿をじっと見つめている。
邪魔をしているわけではない――ただ熱心に、興味深そうに。
視線が気になったが、ヤマタニはそっと見守った。
特に、蒸気機関の模型には目を輝かせていた。
タンクに水を入れ、アルコールランプで温めると、蒸気が勢いよく立ち上がり、機械が動き出す。
「蒸気機関は面白いか?」
小さな声で、元気に返ってきた。
「うん!」
ヤマタニは心の中で思った――この子は、なかなか良い目をしている。
それから少しずつ、タクトにいろいろ教え、簡単な作業を手伝わせるようになった。
そして、蒸気自動車――スチームビークルの試作を完成させたのも、その頃のことだった。
作りかけの部品を組み立てている途中、ヒラリーに呼ばれ、ヤマタニは席を外す。
戻ってみると、驚くことに、すでに完成していた。
「お前がやったのか?」
タクトはコクッと頷く。
ヤマタニは微笑んだ。
この少年は、将来有望かもしれない
――そう思った。
それからタクトは、蒸気自動車開発チームの見習いとして迎えられた。
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