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倒産中年社長、異世界で孤児達と逆転再生経営!  作者: 神永ちろる


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怪盗ガメッツ潜入

第37話 怪盗ガメッツ潜入


ガメッツ商会の社長は、机を叩いた。


「あのマルペン社長め……。」


勝手に、である。


「あやつは俺様に似て有能だ。開発、経営、人

徳……どれを取っても一流。」


悔しいが認めざるを得ない。

ロウソクを出せば改良される。

石鹸を出せばさらに上質なものを出される。

しかも浮浪者を雇い、経費を抑えつつ忠誠心まで得るという離れ業。


「まさに我が宿敵に相応しい……!」


だが、どうしても理解できない。


「あの偽善者が、何を考えているのか……。」


知りたい。

奴の研究の核心を。

動く玩具の仕組みを。


そしてある夜――


ガメッツは黒装束に身を包んだ。

顔に煤を塗り、髭を乱し、ぼろ布を羽織る。

浮浪者への変装は完璧だった。


「ふはは……怪盗ガメッツ、参上!」


月明かりの下、マルペン商会へと忍び込む。

まずは社長室だ。研究資料を押さえれば勝ったも同然――


「あの、おじさん何してるの?」


背後から声がした。

振り向けば、ロウソク工房の少年が首を傾げている。


しまった!


だがガメッツは即座に態度を変えた。


「あー……噂の社長さんに会いに来たのさ。」


少年はぱっと顔を明るくする。


「ああ、仕事したいんだね!」


「う、うんうん。そうそう。」


「じゃあ案内するよ!」


こうして、怪盗はあっさり工場の中へ通された。

(しめしめ……潜入成功じゃわい)

ところが。


「じゃあ、この大鍋の原料かき混ぜてくれる?」


「……は?」


巨大な鍋の中で溶けるロウソク原料。

長い棒を渡される。


「仕事できる人、みんな嬉しいんだ。」


少年は純粋な笑顔だった。

(なぜこのワシが……!)

内心憤りながらも、怪しまれぬよう、ガメッツはかき混ぜる。


ぐるり、ぐるり。


溶け具合を見て、無意識に温度や粘度を読む。

商売人としての勘が働いていた。

そこへ、背後から低い声。


「ほう……絶妙な混ぜ方だな。」


振り返ると、マルペン社長が立っていた。

ガメッツの心臓が跳ねる。


「他の作業もやってみせてくれ」


型入れ、芯の調整、冷却の見極め。

ガメッツは、つい本気でやってしまう。


「ほほう……」


社長は腕を組み、感心した。


「あんた、才能あるな。明日から働きに来なさい」


「……は?」


「朝九時、社長室だ」


ガメッツの額に冷や汗が流れる。

(見破られたか……?)

社長はじっと彼を見つめる。


「どこかで会ったことがあるような……」


ドキッ!


「い、いやぁ、気のせいじゃないですかのぉ!」


ガメッツは慌てて外套を翻し、そそくさと立ち去った。

背後から声が飛ぶ。


「明日の朝九時だぞ!」


翌朝。

ガメッツが来ることは、当然なかった。

しかし自室でひとり、彼は腕を組み、真顔で呟く。


「……あやつ、完璧な変装を見破っておったな。」


自分に都合のよい解釈をしながら。


「さすがは我が宿敵マルペン……。」


だがその胸の奥に、奇妙な感情が芽生えていた。

あの工場の空気。

少年の笑顔。

無防備な信頼。


(……あれは、なんだ)


嫉妬か。羨望か。

あるいは――

ほんの少しの、憧れか。

怪盗ガメッツの夜は、静かに更けていった。


高評価ブックマークよかったら励みになりますので、よろしくお願いします。


「伯爵令嬢リリーナ」という転生話を作りました。

恋愛、領地開拓、経営、戦闘などの話です。

リリース様は誰からも愛されるが、盗賊に襲われたりもする危ういお嬢様。

なんか筆が進んで、結構書いて自分で読んで楽しみましたね。なろうではどうかな?こういう話?

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