講師の好物は鉱物
第30話 講師の好物は鉱物
元大学講師は、両腕いっぱいに鉱石を抱えてやって来た。
「使えそうなものを選んでみてください」
机の上に並べられた石を、ひとつひとつ手に取る。
「クォーツは使えそうだな……雲母も」
光を透かす薄片を指で弾く。
面白いのはTV石。繊維のような構造で像を伝える、不思議な石だ。
こんにゃく石、琥珀、黄鉄鉱……。
まだあるらしいが、持てる範囲だけ持ってきたという。
「持ってきてもらうより、部屋に行ったほうが早そうだな」
講師の自室に足を踏み入れて、思わず絶句した。
石、石、石。
棚も床も、隙間なく鉱物で埋まっている。
「……いつもどこで寝てる?」
「いや〜。お恥ずかしい。石の上で」
本気か。
だが、石の山の中に光るものがあった。
マンガン鉱。
リチウムを含む鉱石。
磁鉄鉱。
そして、グラファイト。
思わず声が漏れる。
「もろ、使える石が結構あるじゃないか!」
講師は少し誇らしげに胸を張った。
トルマリンらしき結晶、水晶、ルビー。宝石類も混じっている。
アクセサリーにすれば売れるだろう。
だが問題はそこではない。
大量採取。
商品化には桁が違う量がいる。
今のままでは博物館だ。
私は石を握りしめながら考える。
マグネシウム。
グラファイト。
リチウム。
マンガン。
電池の性能を上げるには不可欠だ。
だが、良質な電池材料は往々にして危険だ。
爆発、発火、暴走。
大型バッテリーは夢だが、火事を起こせば終わる。
そして私は空を見上げる。
もしダイオードのような素子があれば。
太陽の光を直接電気に変えられれば。
だが、それはまだ遠い未来の話だ。
「このコレクションは素晴らしい」
正直に言った。
「だが、大量に供給できなければ商品にはならない」
講師の目が少し曇る。
「だから、鉱脈の調査を依頼したい。安定供給できる場所を探してほしい」
研究はロマンだ。
だが商売は現実だ。
夢だけでは従業員百人を食わせられない。
講師はしばらく石を見つめ、静かにうなずいた。
「わかりました。探しましょう。学問は机の上だけではありませんから」
その目は、かつて講壇に立っていた頃の輝きを取り戻していた。
石の山の中に、まだ磨かれていない原石がある。
鉱石だけではない。
人もまた、原石なのだ。
あまり話とは関係ないけど、今年やっと2種電気工事士の資格が取れました。
得には使わないけど〜趣味の小屋づくりの配線とか、ソーラー発電とか繋いだりしてみたかった。
自販機のお店や小屋や畑なんか作ったりして、秘密基地にさたいと思ってます。
他にも移動式クレーン、玉掛け、小型車両系建設機械(ショベルカー、ホイールローダーなど)持ってるので、荒地から開拓てまきます。




