葬儀
第27話 葬儀
少年の亡骸は、協会へと運ばれた。
洗い清められ、質素だが丁寧な衣に包まれる。
小さな棺に横たわる姿は、まるで眠っているだけのようだった。
葬儀は、静かに執り行われた。
香の煙がゆらゆらと揺れる中、ヤマタニは祭壇の前に立ち尽くしていた。
参列者は多くない。
だが孤児院の子供たちや工場の仲間たちは、皆、真剣な面持ちで祈っている。
埋葬を終えたあと、ヤマタニは司祭のもとを訪ねた。
「また子供を救えませんでした」
声が、思ったよりもかすれていた。
司祭は静かにうなずく。
「悲しいですね。辛いですね」
「……はい」
「しかし、あなたは少年を見捨てなかった。
最後まで看取った。その温もりを、あの子は感じていたはずです」
ヤマタニは俯いたまま拳を握る。
「あなたは良い行いをしました」
柔らかな声が続く。
「悲しみは大切なものです。
ですが、心を歪ませてはなりません」
しばしの沈黙。
「あなたに神のご加護を」
ヤマタニは深く一礼し、御布施を手渡した。
馬車に揺られながら、工場へ戻る。
だが、今日はどうしても仕事に向き合う気になれなかった。
「臨時休業だ」
短く告げる。
従業員たちは何も言わず、静かに頭を下げた。
夜。
ヤマタニはドクターと向かい合って座る。
酒瓶が一本、二本と空いていく。
「……救えなかったな」
「ああ」
短い言葉だけが、重く落ちる。
別室では、子供たちに料理や菓子、果実水が振る舞われていた。
笑顔を作りながらも、どこか寂しげな空気が漂っている。
皆で、小さな命の冥福を祈った。
夜更け。
ヤマタニはひとり、中庭に立つ。
冷たい空気が肺に沁みる。
空を見上げる。
「……また明日からだ」
少年の分まで、生きる。
少年の分まで、救う。
悲しみは消えない。
だが、止まるわけにはいかない。
静かに、しかし確かに。
ヤマタニの中で、何かが固まっていった。
よく読んでくれるやつに、自分は小説家向いてるか聞いたら、向いてると言っていた。
向いてない奴が、こんなにストックがあるはずががない。
それに、何年も沢山のタイトルの溜め込んでないと言ってた。
まぁ確かにそうだけど…。何か腑に落ちない。




