闇にアークガイル
閑話4 闇にアークガイル
普段、孤児院では作り笑いを浮かべて
「マクレガー」
として振る舞う。
客を案内し、礼儀正しい孤児たちを紹介する自分の姿は、まるで慈善家そのものだ。
だが、その裏で——
名前を「アークガイル」と変えた時、彼の顔には笑みはない。
孤児を風呂に入れ、清潔な服を着せ、取引先へ送り出す。それが彼の“仕事”だ。
馬車の中、アークガイルは冷静に思った。
取引先は貴族だが、マスクで顔を隠し、素性は分からない。
金さえ払ってくれれば、それでよい。詮索など無用だ。
「お客様、こちらがご注文の商品になります」
「おぉ、アークガイル。なかなか良い商品だ」
「して、これが代金だ」
金貨が入った袋が手元に置かれる。アークガイルは無表情で受け取った。
「また頼むぞ」
「はい。御用の際は、またご連絡ください」
その声は丁寧だが、どこか冷たく、魂を凍らせるような響きがある。
納品を終えると、馬車で来た道を戻る。
あの貴族はお得意様だが、孤児を何に使うのか——考えないのが最善だ。
それもまた、商売を行う上での鉄則だった。
帰宅すると、手下たちが黙って出迎える。
「おかえりなさい、ボス」
「ふむ」
「今日の収穫は?」
「はい……それがその——」
手下の様子に異変を感じる。やはり、あれが原因か——。
「収穫なしか」
「はい……すみません」
アークガイルの顔に苛立ちと怒りが走る。
「浮浪者の孤児が入荷せんと商売あがったりだ!」
「マルペンを、何とかしろ!」
「へい」
闇商売はこれまで順調だった。
だが、マルペンの商会ができてからというもの、売上はみるみる減少したのだ。
アークガイルの目は、暗闇の中で鋭く光った。
「マルペン……一体どうなるのか……」
その思いを胸に、アークガイルは次の手を練る。
闇の中で、孤児たちの未来も、商売の命運も、静かに揺れていた。
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何気にもう800pv突破しましたね。
目標の1000まで、あと少しです。
1部より2部のが凄い面白いと彼がいってました。
彼があれこれ言うから、何度も、何度も、何十回も修正したんですよ。
この回は神回にしようとか言ってたけど…
お楽しみに!




