マクレガー孤児院
閑話2 マクレガー孤児院
地下の薄暗い通路を、ひんやりした空気が満たしていた。
鉄製の扉の向こうには、今日も無言の子供たちが身を潜めている。
その中心に立つのは、孤児院を統べるマクレガー――冷徹で賢い男だ。
彼の手に握られているのは、一見ただの馬用のムチ。
しかし、その音は子供たちの背筋を凍らせる。
一度でも唸るムチが足元をかすめれば、幼い心はたちまち従順になる。
「……やれ」
その声だけで、子供たちはぴたりと動きを止める。
甘い笑みと恐怖が、彼のやり方の両輪だった。
良く言うことを聞けば食事や小さなご褒美が与えられる。
す
逆らえば、ムチの警告が足元に走る。
孤児たちはそのルールを知り尽くしていた。
地下から1階へ続く扉は鍵で厳重に閉ざされ、上階への逃走は手下の子供たちによって阻まれる。
互いが互いを見張る監視網――密告されれば、全員に罰が降る。
孤児院はまるで、子供たちの小さな城塞のように統制されていた。
マクレガーは直接手を下さない。
必要なのは脅しと操作だけだ。子供は商品であり、彼の利益の源だからだ。
上階の貴族たちが安全に、秘密裏に孤児を買えるようにする――それが彼の商売の全てだった。
手下たちは元孤児で、マクレガーのルールを身をもって知っている。
一人でも逃げれば、全員が捕まる可能性がある。
だから、見つけられなければ全員に罰が与えられる――その恐怖が、従順な秩序を生む。
外の世界からやってくるシスターや援助団体も、1階でなら簡単に欺ける。
中世的な孤児院の印象で、自然に溶け込むように見せられるのだ。
マクレガーは戦わずして敵を操り、主人公や善人たちを翻弄する――まさに完璧な敵だった。
孤児院の廊下に足音が響くたび、子供たちは静かに息を潜める。
外の世界の善悪とは無縁の地下で、マクレガーの支配は揺るがない。
ここでは、善人も悪人も、恐怖と秩序の前にひれ伏すしかなかった。
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海外に行くと、子供の物売りがよくいました。
みんな子供だと思うと、よく買ってくれるのを知った大人が、子供を使って売らせるのです。
遠くで売上金を回収する大人をみてやな感じです。




