閑話 浮浪者孤児狩り暗躍
閑話 浮浪者孤児狩り暗躍
この街には、孤児が多い。
経済は歪んでいた。
金持ちはさらに富み、貧しい者は働いても底から抜け出せない。
子は生まれる。
だが、育てられず、捨てられる。
子供は親を選べない。
それだけが、残酷な平等だった。
◆
最近、孤児の間で噂が広がっていた。
南区に、炊き出しをする商会がある。
うまくすれば、日雇い仕事ももらえるらしい。
「今日は炊き出しだってよ!」
「急げ!遅れたらなくなるぞ!」
鍋の前にできる列。
パンの匂い。
湯気。
それだけで、子供たちの目は輝く。
仕事もある。
掃除、荷運び、草むしり。
簡単な作業だが、先に食べさせてもらえる。
「マルペン社長は天使さまだ」
そんな声まで聞こえる。
◆
その様子を、少し離れた路地裏から眺める男たちがいた。
「兄貴。またガキが集まってやすぜ」
「……ああ。今日は当たり日だな」
「いつもの手はずで?」
「やるぞ」
声は低く、無駄がない。
炊き出しが終わり、孤児が散る。
人気のない裏路地へ入った瞬間を狙う。
布を口に押し当てる。
悲鳴は出ない。
手足を縛り、麻袋へ。
袋ごと、丈夫な荷箱に押し込む。
馬車の扉が、静かに閉まる。
ガタン、と音がした。
誰も気づかない。
誰も振り向かない。
孤児が一人、消えた。
◆
「一人、金貨一枚だ」
「へへ……やめられねぇな」
だが男たちは知らない。
その背後で、さらに冷たい目が見ていることを。
◆
その頃。
マルペン商会では、子供たちが笑っていた。
社長は忙しく帳簿をめくる。
知らない。
ほんの数百歩先で、
また一人、街から消えたことを。
夜の空気は静かだった。
静かすぎるほどに。
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子供の頃、家が火事になりました。
原因は兄の火遊びだったのですが、遊びから帰ってきたら何故か自分が火つけ犯人にされてしまいました。
それで、家に入れてもらえなかった。
頼んでも家に入れてくれないので、浮浪者になって外で暮らそうとした思い出があります。
理不尽でやるせなく、庭の端で一人座る自分が悲しかった。




