第四部:頼れる仲間
「新道さ〜ん、元気っすか!」
陽気に新道の部屋にやってきた。
「智仁、そのキャラどうにか・・・」
全く聞いてない。
「通信システム全部止めてくれます?」
小声で言い出し、盗聴や電波傍受されないように、ありとあらゆる電源を抜きノートパソコンの明かりが辺りを照らしていた、
「念のため」
持参した盗聴器発見器で部屋中探り、安全を確認した。
「周到だな、どうしたんだ」
「いいもの持ってきました」
一枚のsdカードだ。
「札幌の小料理屋で常連仲間にハッキングのプロがいましてね、情報もらいました、いや〜かなりヤバイらしく、厳重注意されましたよ〜、なので傍受対策しました」
おどけて見せてるが、目は笑ってない。
新道に渡し、中を見る。
「パスワードいるんすよ、**********と」
暗号化された内容が出てきた、これでは読めない。
「それで、これやって…こう…と」
紙のメモを見ながら、ようやく見れるようになった。
「結局これが一番安全」
と紙を燃やした。
データには、東京の都心に登記された、貿易会社やコンサルティングファームを装う複数のペーパーカンパニーの所在地が記されていた。
そして、それらのオフィスに、ごく稀に出入りする数人の男たちの、不鮮明ながらも顔が識別できる写真。彼らこそが、玄武会の中枢を担う幹部たちである可能性が高かった。
「ビンゴ!」
智仁が口笛を吹く。
「ああ。これで、乗り込む場所は決まった」
新道の瞳に、再び地獄の業火が宿る。長らく札幌の地で燻っていた復讐の炎は、ついにその矛先を、全ての元凶が待つ東京へと向けた。
翌日、新千歳空港の出発ロビー。黒いジャケットを着た新道と、ラフなパーカー姿の智仁は、周囲の雑踏に紛れながら、静かに搭乗案内を待っていた。
「ま、なんとかな〜るだ〜ろう〜」
智仁が、いつものちゃらけた口調で笑う。
「ああ」
新道は短く応えると、窓の外、これから飛び立つ東京の空を、冷徹な瞳で見据えた。
復讐の舞台は、北の大地から、因縁の地、東京へ。二人の男を乗せた翼が、今、飛び立とうとしていた。