第一話 嘘だろ
俺の名前は、小津家川 岩鬼(19)大学一年生
海外で仕事をしている両親の代わりに、死んだ父方の祖父母の家の遺品整理をしている。
父方の祖父母の家は改修工事を何回もしているから表面的には新しく見えるが、築年数が100年以上で古く危険なため、長居しないで時間がある日に少しずつ片付けていた。
そんなある日、台所の床の収納庫を発見する。
そこには、大事に布で表面が包まれた[ぬか漬けの壺]があった。
······何だろう。
開けてみるか。
〈パカッ〉
〈ブゥワ〜〜〜〉
「ゴホッゴホッ·······何だ?」
〈ヒョコ〉
······一寸のおじさん?
都市伝説で[緑のジャージのおじさんの妖精]がいると聞いたことがあったけど、まさか生で似たようなものに出会うことになるとは·····
俺はよくアニメを視聴して漫画を読むようなオタクだが、この光景はオタクだからこそがっかりだ。
どうせなら同じようなサイズだったら女の子の妖精だったらな·····
「はぁ·········」
「お前、初対面の私に対して失礼な態度だな。男ならば誰にでも紳士的にふるまうのが礼儀ではないのかね。」
「すみません。」
「すぐに謝罪してくれたから、まぁいいだろう」
「良かった。それよりあなたは何者なんですか?」
「まず、人に名前を聞くときは、自分から名乗るのが礼儀だろう」
「小津家川 岩鬼(19)、大学生です。」
「私はぬか床の妖精だ。150年お前の一族を見守っている。」
「ぬか床というそんなピンポイントで妖精になれるんですね。水、火、風とかで妖精はわかるんですけど。」
「どんなものにも長い年月大切にすれば、道具や食べ物に[神]や[妖精]が生まれる。私は妖精としては150歳だが、ぬか床としてはもっと長い。それほどお前の一族が大切にしたから[妖精]として誕生できた。」
「あの〜話は変わるんですけど」
「何だ?」
「この家は来月解体されるんですけどこれからはどうするおつもりですか?」
「お前の家に連れてってくれ〈ウルウル〉」
「··········はい。」
······最悪。
代々一族を見守ってきた神のようなものだと思うと無闇に捨てれないしひきとるしか選択肢がないやん。