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悪役令嬢の私と、当て馬子息の貴方が出会った話。

作者:沙月雨
エルシア・グライドという裕福な侯爵家に生まれた少女は、その身に生を宿したその時から、運命が決まっていた。
否、運命を『知っていた』。

前世の記憶をもっていた―—――この世界がいわゆる『乙女ゲーム』といわれるものであり、そして自身が『悪役令嬢』だと知っていた彼女は婚約者であった王太子を好きにならないようにしたが、だんだん彼に惹かれていく。

けれどどんなに頑張っても結局はシナリオ通りにヒロインと結ばれた元婚約者を見て。
想い人と幸せに笑いあう自身の想い人を見て、胸の奥の悲しみを吐き出した後、ふと言葉が口をついて出た。


「「ずっと、お慕いしておりました」」


一つだったはずの声が、二つ重なった時。
決められたシナリオの中で、『当て馬』であった彼と目が合った時。

止まったはずの歯車が、もう一度動き出す。

――――これは、物語が終わったその後で、かつて『悪役令嬢』だった彼女が幸せになるまでの物語。
プロローグ
2024/08/06 21:13
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