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初めての魔道具と出会い

「あれが、街か。」


身体強化を使い全速力で走った。時間でいえば30分か40分くらい走った。遠目に壁に囲まれ街が見えたのでここからは普通に歩くことにした。


「しかし速かったな!走るだけでこんなにも楽しく感じるななんて思わなかったぞ。原付きバイクくらいのスピードは出てたんじゃないのか?体力もまだ息切れしてないし、これは検証の余地ありだな。」


自分の身体能力を測れずやや消化不足ぎみだが、街が近いのでゆっくりと歩く。ここら辺からチラホラと人を見かけるようになったのだ。


「よぅ、お兄ちゃん!」


後ろから声を掛けられたので振り向くと、そこには馬車を引いた男がいた。


「凄い速さだったな!ボア系の魔物かと一瞬焦ったぞ!」


街に向かう途中で一台の馬車を追い越したのだ。そのときにすれ違いザマに「こんにちはー!」と声を掛けたが返事を聞く前に距離が開いて、そのまま通り過ぎてきたのだ。ランナーズハイというか余りのスピードに楽しくて浮かれていたのである。


「あぁ、さっきの馬車の人ですか」


「おぅ、マキノって言うんだ、よろしくな!」


「キッドです、よろしくお願いします」


馬車から降りて馬の手綱を引き、キッドと並ぶように歩きながら握手をした。


「キッドは冒険者なのか?それとも貴族?」


「いや、貴族じゃないですよ、今から街で冒険者登録をしに行くただの平民です。」


「へぇ、話方が上品だし、立ち振る舞いも堂々としてるから訳あり貴族が平民のフリしてるのかと思ったよ」


何だその設定は?そんなやついるのか?


「わざわざ平民のフリをする貴族なんているんですかね?」


「たまにな!没落した貴族がやるのさ。悪どいことをしていた貴族が没落して、権力もお金もなくなると命を狙われることがあるしな。」


まぁ、自業自得ってやつだと思う。ハーゲルが命が軽いと言っていたが、そういうことなのだろう。


「怖いですね。ちなみに本当俺は平民ですからね!」


「おいおい、2度も言うと逆に怪しいぜ。まぁ、俺は特に恨んでる貴族なんていないし安心しな!ガハハ」


何が面白いのか、バシバシと俺の肩を叩きながら笑うマキノ。まぁ悪い人ではなさそうではあるし、街も近く、門には門番みたいな人が槍を片手にこちらを見ていたので話をしなが門へと歩く。数名並んでいるので列の後ろ続く。


「じゃあ、マキノさんは商人なんですか?」


「駆け出しだけどな!ノーズ商会って所で世話になってんだ」


話によるとマキノは商人らしい。街から街へ馬車で赴き、その地にはないものを売り、その地の特産品を買い上げ、また別の街に売りに行く。その差額で儲けを得ているようだ。


「大変そうですね、いつ家に帰れるんだろう」


「ガハハ、このキッカの街が俺の家さ!大体半年ぶりだな!それに行商人は俺一人って訳ではないからな!それ程大変でもないぞ!」


軽い旅行のようなものだと話すマキノ。それでも半年も家族とかと離れるのは寂しいものがあると思う。ましてや、命の軽いこの世界、家族や同僚など不安もあるのだろうに。


「そんな時ははこれだ!エルフの言霊さ!」


マキノが大きめビー玉サイズの玉を取り出した。


「なんですかこれは?」


「我がノーズ商会が誇る目玉商品さ!まぁ見てろ!」


と言うとマキノは玉に魔力を込める。この世界にいる全ての生き物、いや、物に至るまで全てに魔力があると言われている。ハーゲルも言っていたので間違いはないだろう。もちろん魔力の大きさは様々ではある。


「座標:母ちゃん!伝言:今から帰るから風呂を沸かしてくれ!」


マキノが詠唱とメッセージらしきことを玉に向けて唱えると玉か震えるだし、翼が生えた。


あっ、ハリー◯ッターで見たやつだと一瞬思ったが、玉の周りに羽が降って来たと思えば次の瞬間に消えてた。


「なんですかこれは!凄いじゃないですか!もしかしてさっきの伝言を奥さんに届けたんです!?」


もうテンション爆上がりである。若干引き気味のマキノ


「おっ、おう!そうだ。よく分かったな錬金術でも齧っているのか?」


素晴らしいかな異世界!初めて見る魔道具に感動し、マキノに色々と問い詰めていると俺達の番が回って来たらしく門番に呼ばれた。


「ちょっと!今話してる途中でしょーが!」


「ん?何だ街に入らないのか?」


今だ興奮気味の俺に、少し不機嫌そうな門番がそう言うと


「いや、入るよ!キッド落ち着け!街中でも話せるだろ!」


「はっ!申し訳ないです。少し取り乱してました。」


マキノに抑えられ正気を戻す


「いいから、ステータスと軽く荷物チェックだ」


そう言われステータスを表示させる。もちろんシークレットモードだ。

ボディチェックを終えた門番が俺に話掛けてくる。


「おい、お前の荷物はどこだ!」


そう言われてはっ!と思った。…アイテムボックスってどういう扱いなのだろう。素直に話しても大丈夫なのだろか?俺が生唾を飲み込んだその時、


「あーそれなら一緒に馬車に積んでるよ」


「そうか、…よし!問題ないな。おいマキノ、こいつは新入りか?」


「いや、道中で会ったのさ。腕に覚えがあるって言うから護衛代わりに一緒に街まで来たのさ、キッドは冒険者登録しにきたらしい。」


「はい、この街には冒険者登録をしに来ました」


「そうか、キッカの街へようこそだな。問題を起こすなよ!」


多分、俺は今助けられたのだろう。そのまま門を進み門番が見えなくなるまで無言で歩いた


「マキノさん!ありがとうございます」


「いや、いいよ。アイテムボックスかい?」


「…はい」


「まぁ、ひと目見た時は気付かなかったけど、歩いてるお前さんを見てピンと来たのさ。しかし、偽装の荷物くらいは持って置いたほうがいいと思うぞ」


迂闊だった。スキルの秘匿性や危険性については手紙はもちろん、ハーゲル本人からも釘を刺されていたのに。

マキノ曰く、アイテムボックスのスキルを持っている者は軍隊に需要があるらしい。時間停止の大量保存が効く歩く兵糧庫だ。当たり前のように国に囲われるらしい。戦争では場合によっては真っ先に狙われ命を落とす。所謂兵糧攻めである。


「本当にありがとうございます。」


「いいってことよ!それよりキッドはこれからどうするんだ?」


「とりあえずは、宿を探します」


「おっ!そうか!ならいいとこを紹介してやろう!」


『神の祝福の加護が消えましたステータスより確認してください』


「!?」


加護:神の祝福の加護


対象のピンチの時に一度だけ幸運をもたらし危険を回避する


やはり、中々危険というか、人生詰むとこだったのか?そしてマキノとの出会いは俺にとっては幸運か…


「はい!ぜひよろしくお願いします」


俺は深々と頭を下げ、マキノと神様に感謝した。


あれ?そういえば今の声は女性の声で、前の男性とは違う声が頭に響いたような…気のせいか?

いいですね、幸運…私のとこにもきて欲しい…

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