大草原での目覚めと由来
バチっと目を開き、ガバッと起きる
「生きてる…」
両手の手のひらを見つめ一人囁く。余りの衝撃に鼻血やら目ん玉やら出るもの全てが飛び出そうな勢いがあったり。
「あれはヤバいだろ。他にやり様はなかったのか?」
後頭部を擦り、鼻血が出てないか確認をする。異常がないことを確認して周りを見渡す。
大きな一本の木に持たれるように横になっていたらしい。ここは少し小高い丘になっているようで、見事な晴天もあり遠くの方まで見渡すことが出来る。
辺り一面の草原、心地の良い風。日本とは違うカラッとした天気。
「凄いな!異世界!」
心奪われる素晴らしい景色である
「空が近くに感じるな」
どこまでも続く地平線と澄み渡る空の青
「あぁ、神様の瞳みたいな綺麗な空だ…もうひと目でも会えないかな…」
転生の衝撃もさることながら神の美貌も凄いものがあった。
「とりあえず手紙を送るからとか言ってたよな」
体を弄り服やズボンを確認してみるも、
「ん??どこにもないぞ??」
少し慌て始めるキッド。ちなみに彼の今の洋服は絹のような物で織られた少し黄ばんだ白の半袖とハーフパンツのセットアップに、手作り感溢れる何かの革で出来た靴底に帯がついたようなサンダルである。
敷物代わりしていたマントを持ち上げるとそこに手紙があった。
「おはようございます。お目覚めいかがでしょうか?何はともあれ異世界転生おめでとうございます。無事に転生出来た事に私共々嬉しく思います。」
いやぁ、あの衝撃は半端無かったからな…俺も嬉しく思うよ。
「さて貴方の能力、スキルについてですが、基本的に全てステータスから見れます。ステータスオープンと唱えることで確認できます」
おぉ、まさにテンプレだな「ステータスオープン」と唱えると目の前にタブレットの画面サイズ液晶画面が現れた。
名前 キッド
種族 人
スキル 言語理解、鑑定、アイテムボックス、
インターネット、
魔法 火属性、水属性
称号・加護
神の子、神の祝福の加護、天使の祝福
まさに異世界転生!テンションが上がる!
「分からないことがあればスキル︰鑑定をお使いください。スキルや魔法、称号・加護はもちろん物や人にまで使える優れものです。他のスキルや魔法もステータス同様にその名を詠唱するか頭の中で唱えるとご使用頂けます。」
やっぱり鑑定様だよな。アイテムボックス、鑑定、言語理解、異世界転生における三種の神器、いや三種のスキルだな。
「なお、アイテムボックスに少しばかりのお金と食べ物が入っておりますのでご利用ください。その丘より見える道なりに沿って2日ほど行くと街があるので最初の目的地としてはいかがでしょうか?最初に話した様に私共は過度な干渉が規定により出来ません。これより先の貴方の冒険を天界よりお見守りさせて頂きます
親愛なる弟へ 兄 ハーゲルより」
うん、ありがとう、お兄ちゃん。できればママから一言欲しかったな…
「とりあえず、街に行ってみよう!ってか、2日って遠くない??まぁ鑑定やらスキルやら試しながらゆっくり行くか!」
マントの装着に悪戦苦闘し先に見える道を目指す。
「鑑定でここの場所とかわかるのかな??さっそく試してみるか。鑑定!」
鑑定︰ハーゲル草原
その昔、大天使ハーゲル様の降臨したのが名前の由来。降臨の際にその地に祝福を捧げた。以来その地には魔物が近寄らず緑溢れる豊かな地となったが、何故か木は生えずうっすらとした草原になった。土壌にはまだ祝福が残っており、作物を育てるのに適している
ブブっー!と思わず吹き出してしまった。
ちなみに私は剥げてません。少しおでこが広いのです。