飛び出せ異世界!飛び出る目ん玉
「この声は!神様!」
神様だと!二人同時後に勢いよく振り向くと
「いや、逆だから、こっちこっち!」
とツッコまれた。いや!ハーゲルが振り向いたから釣られて振り向いたからね!
「おぉ、神よ!すいませんが、まだまだ核が出来てなく時間が掛かります」
「そうですか、核をこちらへ。私が見ましょう。」
俺は立ち尽くしていた。その余りの美貌に、その余りの神々しさに、物腰柔らかく、穏やかでよく通るその声に、その目は確実に俺の胸を貫いた。恋にも似た感情。しかし、包み込むようなそのオーラからは母より受ける無償の愛。俺は無意識に膝を曲げ地に頭を着けた。
「へへぇー!」
「あら?江戸時代の方をお連れしたの?」
「いえ、ちゃんと令和の方でございます。」
「へへぇー!」
最早「ヘヘぇー!」しか言えぬ有り様である。
「あっ!神よ!オーラを鎮めてください!神気に当てられております!」
「あら!まぁ!ごめんなさい!」
と神が言うと神々しさみたいなオーラ?を感じなくなった
「大丈夫?もう顔上げても平気だと思うのだけれども。」
「へへぇー!」
正直今はこれ以外話せない。顔を上げる様に催促されたのでゆっくりと顔を上げる。
まさに絶世の美女である。綺麗な銀の髪、透き通った綺麗な青の瞳。少し華奢な体格だがデカい!アレがデカい!神は二物を与えないのではなかったか?いやこの人が神か!など、少しテンパってセクハラ紛いな事を考えていると思考を読まれている事に気が付いた。
「申し訳ございません!神様!失礼な事を考えてました!」
「良いのですよ。気にせず気楽にしてください。今核を仕上げますので」
神様の言葉ホッとする。怒らせて天罰でも下ったらたまったもんじゃない!それに俺の感情は恋慕とかではなく親に対する愛着みたいなもんだ。決して下心はない。それが伝わったのか分からないが神様終始ニコニコ顔だ。ここに来て記憶が曖昧なので親の顔が思い出せないので、もう神様を親にしよう!と心の中で誓った。
「まぁ、嬉しいわ。私を親に見てくれるなんて。もう少しサービスしてあげましょうかね」
弾むよう笑顔と弾んだ胸、俺はなぜか無償に嬉しくなった。
「どこを見ているのですか?」
醜いゴブリンが邪魔をする。ん?ここはもう異世界なのか?
「邪魔だ!どけ!」
ハーゲルの顔を乱暴にズラす。いや、ヅラす
「誰かゴブリンですか!ってかヅラすってなんですか!私被ってませんからね!」
「コラコラ、ハーゲル。その子ももう私の子供、貴方の弟の様なもんですよ。優しくしなさい。」
「ほら、神様もそう言ってるので退いてくださいよ!それに、あなたはずっと神の元で仕事が出来るので会う機会はあるでしょうけど、俺はこれが最初で最後なんですから!今は一分一秒が推しいくらに神様を見たいのです!」
「まぁ、嬉しいことを言ってくれるのね」
弾ける笑顔、弾ける胸、あぁ、何て幸せな気分だ…もう死んでもいい…いや死んだからここへ来たんだっけ
「喝っっっ!!!」
うぉ!急にハーゲルからの大きな喝にビックリする
「死を思い出すのは危険です」
いや、わかったけど…なんか全てが台無しだ…。なんとも言えない空気になり、神様を見つめていること5分が経過した頃
「出来ました。これでも良いでしょう」
「おぉ、さすが神!見事な核で御座います」
ハーゲルが言葉の限り神様を持ち上げる。手を揉みながら必死にヨイショをする姿はまさに中間管理職そのものである
「では弟よ、これより異世界転生を行う」
誰が弟だ!お前二十歳くらいって言ったよな!記憶は曖昧だが確実に俺の方が兄だろ!いや!そもそも兄弟ではない!
「むっ!神の言うことは絶対です」
「そうよ!兄弟ケンカはメッしますよ!」
クソ!神が尊い!膨らました頬が美しい!好きだ!
そして黙れハゲ!いかん!神の出現により俺の感情が昂っている。落ち着け俺!深呼吸だ!
すーっ、はー。すーっ、はー
「すいません、お兄さん、お母さん。俺、そろそろ行きます!」
「まぁ嬉しいわ。ハッキリと言葉でお母さんだなんて。息子よ行ってきなさい。貴方にはキッドと言う名前と僅かながらの加護を与えましょう。これは暫くの間幸運を呼ぶ祝福の加護です。貴方の生活が安定するまでは続くでしょう」
あっ、今更ながら俺には名前が無かったんだよなときづいた
「キッド《神の子》ですか!!!!」
何故か驚くハーゲル。何かあるのだろうか?
「キッド…有難う御座います!」
驚くハーゲルを余所に感謝を述べているとハーゲルが咳払いを一つして
「ではこちらに背を向けて膝を付きなさい」
ハーゲルが神様より光輝く物体、核を受取り俺に指示をする
「こんな感じでいいですか?」
「はい、そのままで。では、行きますよ!」
「キッド、貴方の人生に多大な幸があらんことを、母はここより、いつも見守っていますからね」
神様からの有り難い言葉の後に、物凄い衝撃が後頭部を直撃した。目ん玉が飛び出そうな勢いで、あっこれ死んだなと思った時、どこからともなく「喝っっっ!!」と聞こえたのを最後に俺の意識は閉ざされた
やっとで異世界です。じっくりやって行きたいのでよろしくお願いいたします。