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ええいいああ

「ちょっと冷めてるけど、食べるか?」


コクっと頷き、近寄る二人。肉を渡すとボソッと「ありがとう」って聞こえた。


今度は驚かせないように、はじめから水もあげようとしたが、子供達を探してる時に飲み干してしまったのに気が付いて、魔法で水袋に水を足して渡す。


水を足してる間、じっと見られてる気がした。食事を終えたタイミングで話を切り出した。


「少しはなせるか?」


「兄ちゃん魔法使えるの?」


コチラの話は完全スルーの回答が返ってきた。


「今みたいに少し水が出せるのと、焚き火に火をつけれる程度だよ」


「そっか…」


そのまま黙り込む二人、このままだと、前みたいにスッと帰りそうなので話を切り出す。


「二人はどこに住んでるんだ?」


返事をしない。警戒しているのか、自分達の住処を他人は教えたくないのか、わからないので質問を変えてみた


「安全に暮らせる場所にいるのか?」


二人で頷く


「飯はちゃんと食えてるのか?」


全く反応しない二人、まぁこれは浅い質問である、どう見てもちゃんと食事が取れてるようには見えない。

二人を見ていると居た堪れなくなり、考えが纏まらない。先程の話を聞いているからなおさらである。

俺は思い切って提案した。


「良かったら一緒に暮らすか?」


二人は驚いた顔でコチラを見上げた。そして人族の子供が問いかけた、


「何の為に?俺達を騙そうとしてるのか?兄ちゃんに何の得があるんだ?」


拒絶するような言葉とは裏腹に、その目には涙が溜まっており、その顔はすがるような顔に見えた


「特に深い理由はないが…今度商売を始めることになったんだ。その手伝いを探してるんだよ。」


シャンプーのことを思い出し、適当に理由をつける。


「難しい仕事ではないから賃金は小遣い程度だが、食事と寝床を提供出来る。俺と同じ部屋だがな。」


満腹亭の俺の部屋にはベッドが2つある、体の小さなこの子たちなら1つベッドで二人寝れるだろうと考えた。


獣人の子供がじっと俺の目を見つめてくる、まるで心の内を見透かされているようだ。


やがて、獣人の子にむかって頷くと人族の子供が頭を下げながら「よろしくお願いします」といった。そこからの俺の行動は早かった。

 ネットスーパーで子供用の上下セットアップの部屋着を2枚購入し着替えさせ二人を抱えて満腹亭に向かった。その時、二人の体重の軽さが俺の胸を熱くさせた。


満腹亭に到着するとクレアに二人を追加で宿泊させたいとお願いすると。クレアは少し困った顔をするが、ステータスを確認させると渋々といった感じではあるが宿泊を許してくれた。その際、クレアは二人を抱きしめ何かを囁いた。二人コクリと頷くだけで何も言わなかった。

 俺は真っ先に風呂に向かった。これまでセンチで暗い雰囲気では会ったが二人はとにかく臭かった。クレアが難色を示したのもそれが原因だろう。


 一度のシャンプーや石鹸では汚れが落ちないので2度、3度と洗い流した。


夕食までは少し時間があったので部屋に戻り、ネットスーパーでファ◯タのオレンジとグレープ味、それと安いコップを3つ購入し、水魔法の応用でキンキンに冷やして飲んだ。この水魔法の応用は最初から出来ていて、自分が飲むエールなどにこっそりと使っていたのは内緒である。


二人は何もない所から透明のガラスのコップが出てきたことに驚き、飲み物の冷たさに驚き、ファン◯の美味しさに驚いた。


「兄ちゃんはスキル持ちなのか?」


「あぁ、誰にも言うなよ、後俺の名前はキッドだ」


そう伝えると、人族の子供は視線を落とした。先程、クレアとこの子たちのステータスを見た時にわかったのだが、この子たちには名前がなかった。俺が勝手に名付けしてもいいのか分からないので、食事の時にクレアに聞いてみようと思う。

 獣人の子はガラスのコップが気に入ったのかずっと眺めていた。何かと返事をするのは人族の子だし、話をしている時に、よそを向いていたりと、マイペースなのか人見知りなのか、あるいは両方かわからない。ゆっくりと時間を掛けてわかり合えばいいと思う。


食事の時間になったので一階には降りて食事を注文する。


「まぁ!見違えたね!随分可愛くなったじゃないか!」


「…」


二人からは照れているのか、人見知りなのか、特にリアクションはなかった。


「さっき会ったけど、この宿屋 満腹亭の主クレアさんだ、挨拶はちゃんとしとけよ、これからお世話になるんだからな。」


あまりのノーリアクションと。人としてちゃんと挨拶はするべきだと思って、少し強めの口調で伝える

小さく、ボソッした感じだが「「よろしくお願いします」」と聞こえたので、とりあえずは、よしとする。


その後、出された料理にガッツリと齧り付く二人、食事をしながら何故かまた泣き出す二人。すると隣テーブルにいた冒険者パーティーの大きい熊の中が泣きながら、「これも食べな」と言って果物を、置いていった。


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