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命の軽さ

ノーズ商会を後にした俺は市場へとやって来た。目的は昨日の孤児達だ。肉串をあげた時にはありがとうと言っていたのに、去り際には何も言わないで去っていった。


 そこは「助けて」とか言う場面ではないのか?肉串を上げる際に、酷く警戒というか、怯えていたような印象があった。誰も助けてくれない大人達に対して不信感があるのだろうか?とにかく、もう一度会って話をしてみることにしたのだ。


市場に着いてから孤児達と会った場所を起点に探してみることにしたが全く見当たらなかったので、その日は諦めて宿に戻った。


 夕食を食べてる途中でマキノも帰ってきたのでシャンプーについて、話を詰めた。特に意見などないのでマキノの提案をそのまま了承し商談は成立となった。


 マキノに孤児について聞いてみたら、「あまり関わらない方いいぞ」とのことだった。

 みんながみんなそうではないが、大体の子供達は大なり小なり犯罪を犯しており、中には裏の組織、日本で言うヤクザ的な組織に加担している子供もいるという。触らぬ神に祟りなしということなのだろう。


 それに、まともな孤児なら孤児院で世話をしてもらえるらしい。成人するまで孤児院に入れて、ちゃんと職業の斡旋までしているようだ。

 あの二人はもしかしたら何かしら犯罪をしたかもしれない。しかし、あんな幼い子供の犯罪だ。たかがしれているのではないか?俺が肉串をあげた時、あの子達は理性では拒否をしているが本能で我慢が出来ないって感じだった。餓えに耐えきれず、市場の商品を万引きした程度ではなかろうか、とりかえしのつかない犯罪を犯したとは考えられなかった。明日、もう一度探してみようと決めた。


 ちなみに、マキノに万引きはどれくらいの罰則があるのか聞いてみたら、窃盗は良くて犯罪奴隷、悪いとその場で手を切り落とされてから犯罪奴隷になるらしい。どっちみち奴隷である。なかなかに重い。


軽くマキノと酒を飲みにその日は就寝した。


翌朝、起きてすぐに市場に向かった。昼前まで探すが、全く見当たらないので、聞き込みをすることにした。俺が「人族と獣人の幼い孤児を見なかったか?」と質問する大体の人の返事は「何か盗まれたのか?」と聞き返してくる。市場の商人からしたら孤児などは自分の店の商品を盗みにくる泥棒にしか映ってないようだ。


 腹が減ってきたので、昨日食べた串肉の屋台に寄って食べることにした。その時、屋台の店主に孤児達のことを聞いたら気になる話が返ってきた


「多分アイツらかな、先週の話だがな、そこの席で貴族の子供が付き人と一緒休憩しててな、この辺の屋台の商品を適当に1つずつ買って飯を食っていたんだよ」


「貴族の方が市場に来るんですか?」


「たまにな、お忍びで子供の玩具を買って行くのさ。正直、貴族の上品な玩具より平民向けの玩具のほうが遊んでて楽しいんだろ、で、食べきれずに付き人に捨てるように言ってその貴族の子供が席を離れたんだ」


「まぁ、この肉串一本で十分ですもんね」


「だな!ハハハ。でな、話はここからだ。そこの路地にフードを被った四人の子どもがいてな。話も聞こえてたんだろうさ、変なことをしないように俺も周りのヤツラもずっと見張っていたんだけど、貴族の子供が帰るって言ったんで俺も気が抜けて目を離したんだよ。その隙にそいつ等が貴族が置いていった飯を食べたんだよ」


「捨てたのなら問題はないでしょう?」


「あぁ、おれもそう思ってアイツらが飯をくってるのに気づいても何もない言わなかったさ、むしろ、生ゴミの処理しなくてラッキーくらいの気持ちだったんだけどな。その貴族がガキ共に気が付いてな…泥棒っ!て叫んでな」


「いやいや、捨てたんじゃなかったんですか?」


「まぁ、貴族の気まぐれというか、あれは完全に遊んでる感じだったよ。あの貴族の子供は最後までヘラヘラと笑ってたからな」


「孤児の子達はどうしたんですか?」


「驚いて逃げようとしたんだけどな、貴族の子供だ、付き人以外にも隠れて護衛がいてすぐに1人が捕まっちまってな」


「えっ、まさか、捨てた食事を食べただけで奴隷になんてなりませんよね?」


「その、まさかさ、いや、最悪だったのは捕まって逃げようとする子供の手を貴族のガキが切り落としたのさ」


「あり得ない、それだけで?」


「それを見て一番体の大きな子供が貴族のガキに飛びかかったんだけとな、すぐに取り押さえつけられてな、フードが取れたら獣人のガキってことで貴族のガキが喜んでよ…」


「獣人だとなんかあるんですか?」


「お前さんそんな事も知らねえのか?貴族の中には獣人は人として見ねぇ、物以下だってヤツラがいるんだよ。胸糞の悪いヤツラがよ」


「…」


「貴族のガキははしゃいでたよ、獣人の奴隷だ!やったー!ってな」


「その後孤児達はどうなったんですか?」


「人族の奴隷はいらないと、腕を切られた子供は放置だ、けど、助けてたりするなと俺達は言われてな、助けてヤツは同罪にするって言われてな動けなかったのさ」


「いくら貴族だとはいえやり過ぎではないですか!!」


「おいおい、俺に怒るなよ!あの貴族のガキがどれくらい偉いのかも俺にはわからねぇんだよ!」


「すいません、つい」


「いいよ、気持ちは分かる。結局、獣人のガキは連れて行かれて、腕を切られたガキは血を流して過ぎて死んだよ。残りの二人は気づいたらいなかったよ。」


「獣人の子供はどうなったんですか?」


「俺は見てねぇが、北門の外のスラム街の方でさらし首にされていたらし…状態もひでぇみたいだったよ」


俺は店主にお礼を言い串肉を3本買って昨日と同じ路地に入り建物の陰に隠れて焼肉のタレを串肉に掛けて食べようとしたが手が止まる…。あんな話を聞いたら後だからか、食べる気にならない。


 アイテムボックスに肉串をしまって帰ろうなと思って、立ち上がった時、何処からともなくギュルルと音がなった





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