唸れ拳!浮かべスキル!
「とりあえず転生でお願いします。」
転生と転移の違いは人として異世界に行くか、人以外の生物だったり、または物にまでなれるらしい。普通に人として行きたいので何の迷いもなかった。
「能力等はどうしましょうか?スキル等は結構自由に与えて良いと神から承っております」
「えっ!?まじっすか??」
「えぇ、本当です」
淡々と、とんでもないことを言う神の部下。まさに絶句という顔をする男。
何でも出来るだと…。試行錯誤する男。ほぼほぼお金のことしか思い浮かべない男に対し、神の部下が囁く、
「お勧めとしましては戦闘系に寄せたほうがよろしいかと。」
「戦闘ですか?」
「はい。これから行く世界は最初にも申し上げましたが魔物がいます。人々の生活圏はそれほど広くはありません。生き抜く為の力は必須です。またあなたの住んでた日本のように治安も良くないです。言ってしまえば命は軽いのです」
「命が軽い?」
「はい、人が簡単に死にます。争いであったり、食糧難であったり、病であったり、魔物に襲われたり、場所によっては冬を越せない等、様々な理由はありますが」
たしか、文明は低いと聞いた。医療や文化、科学など現代の日本に住んでた俺からしたらかなり低いらしい。がしかし、科学や医学はないが魔法がある。癒やしの魔法を使えば病気や怪我なども簡単に治せるらしい。重機などなくても魔法により楽に開拓が出来るらしい。魔物の存在のせいで中々進まないようだが。正直魔法にものすごく興味がある。
「んー、そういうことなら戦闘に寄りすぎるのも良くないですよね?回復とか必要だと思いますし。」
「そうですね。まぁ、完全に脳筋で力で全てを手にするのもありなのでは?圧倒的な力ですべてをねじ伏せるとかいかがでしょうか?」
「それは魔王ルートじゃないですか、俺には無理ですよ」
「分かりやすく簡単な方法ではあると思いますよ?まぁ、勇者やら英雄やら賢者、聖女などに討伐される未来しか見えませんがねハッハハッハ(笑」
笑じゃねーよ!この人悪い人ではないがナチュラルに人をイラつかせるとこがあるな。しかし、腰の低さも相まってか、憎むことも出来ない。ってか勇者とかいるのか?なおさら俺いらなくない?本当に何の為に行くのだろうか?
「いや、本当に真面目に考えてくださいよ!現代日本人に無理そうなことは言わないでください!暴力は無し!」
「でも、向こうからやってくることもありますので、やはりある程度は戦えないと厳しいとおもいますよ?魔物からしたら人はエサでしかありませんし。」
「んー、魔法は今貰わないと使えないんですかね?」
「いいえ、そんな事はありません。鍛錬すれば使えるように調整できます。同様に身体能力も上げる事ができます」
「だったら、そこまで戦闘にこだわらなくてもいいような気がするのですが?」
「そうですね。ただ血肉脇踊る激しい戦いを見ると神が喜ぶので、そうしていただくと嬉しい限りです。はい。」
「えっ?神様って結構バイオレンスな方なんですか?」
「いいえ、そんな事はございません。何者にも慈しみ自愛溢れる素晴らしい方ですよ」
「いや、血肉脇踊る戦いのどこに愛があるんですか?」
「時には拳で語ることも大切なのでは?特に男同士ならね」といいながらウィンクをしてくるバーコードおじさん
今拳で返事してやろうかな?と思いながらもプルプルと震える手をグッと抑える。
「まぁ、神を私どもの考えで計る事自体が間違えなのですよ。なにしろ神なのですから。」
神と言う便利ワードで全て片付けられた感は否めないが、正直自分のスキルの方大事なので、話を戻すことにした。
「とりあえずスキルは戦闘寄りにせずに、凡庸性の高い物にしたいなと思っております。」
「凡庸性の高いものですか…具体的になにか思い浮かべているのですか?」
「はい、例えば空間系のスキルはどうかなと?瞬間移動とかかなり使えるとおもうのですが」
「なるほど、しかし、そういうものならば魔法であるのでわざわざスキルとして取得することもないものかと」
「けど魔法を使うときにすごく大量な魔力が必要になったりしません?」
「それこそ、こちらで調整して膨大な魔力を授けますよ」
「えっ?いいんですか?」
「はい、よろしいですよ」
もうスキルいらなくね?って考えた始めたときに大事な事に気が付いた。
「すいません、向こうの食事事情について聞きたいです。」
話のテンポが気になりますが、気楽に優しい目てお読みください。