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姉妹

 翌朝、俺はノーズ商会に向かうべく、準備をし宿を出る。石鹸は購入済みで袋から取り出し、生身のままアイテムボックスに入れた。出たゴミは、すべてトイレスライムに消化させた。その際に、スライムが、少し弾み喜んでいるように見えたのが印象的だった。


 昨日話したばかりのなので、納品は早すぎるかなと思ったが、スキルやら魔法がある世界なのでどうにかなるだろうと楽観的に考えて向うことにしたのだ。お金は後からでも受け取ればいいだろうと思っていた。


ノーズ商会につくと店先には寝起きの顔でダルそうにしている女性がいた。髪はボサついていて欠伸をしながらタバコをふかしていた。


「すいません、ノーズ商会の人ですか?」


「ん?あぁ、そうだが、君はだれだい?」


「キッドといいますが、マキノさんはいますか?」


「マキノかい?ちょっとまってくれ」


と言うと呼びに行くわけでもなく、「おーい、誰かマキノを呼んできてくれ!」と声を掛けた。


雑というか、大胆というか、大雑把な態度にビックリしている俺に話し掛ける女性、


「君は商人なのかい?」


「いえ、冒険者ですよ。」


「マキノになんのようだい?」


マキノさんを呼び捨てにするって事は結構上役職のひとなのか?いや、マキノさんは自分で駆け出しと言っていたのでマキノさん自身が下っ端なのかもしれない。


「んー、商談ですかね?」


「護衛依頼かなんかクエストだしてたかね?」


「いえいえ、ある商品を売りに来たんですよ」


「ん?君は、商人ではなく冒険者なんだろ?」


「はい」


「クエストじゃなくて商品を売りにきた?」


「はい」


「んん?ダメだ頭が回らん!酒が抜けん!」


「ガハハ、あれだけ飲めばそうなるだろう!おはようキッド!」


「おはようございます、マキノさん」


「朝からどうした?素材が足りなかったか?」


「いいえ、納品に来ました」


「何!早いな!わかった昨日の部屋に案内するからそこで話そう!テレサ!お前も来てくれ!」


「これを吸ってから向かうよ」


ダルそうに返事をする女性を脇にマキノに近づきこそこそと話す


「彼女凄いですね。怒られたりしないんですかね?」


「ガハハ、怒るも何も、アイツに指図する出来るヤツは、いないぞ!」


やはり、問題児なのだろう、腫れ物扱いされてないか逆に心配になってきた


「アイツはテレサ・ノーズ、このノーズ商会の商会長だ」


「えぇ!!!!」


「よろしくね」


気怠そうに返事をするテレサ。


「ちなみに、今は夕べ飲み過ぎて絶賛二日酔い中だ!ガハハ」


「あんたの笑い声は頭に頭に響くからやめて」


「ガハハ!すまん、すまん!じゃあ先に行ってるぞ!ガハハ」


店内に入り、昨日と同じ部屋に向かうようだ。


「女性の方が商会長だなんて驚きましたよ」


「ガハハ、そうだろ!ちなみに母ちゃんの姉ちゃんだぞ!」


二度目のビックリである。言われて見ればどことなく似ているような気もする。


「家名があるって事はテレサさんやマキノさんは貴族なんですか?」


キョトンとした顔の後、ガハハと豪快に笑い出すマキノ


「出会った時とは逆の立場で同じ質問をしたな!ガハハ」


「そうですね」


俺も思わず笑ってしまう。


「貴族ではないよ!家名をもらっただけだ!それに家名が着いてるのはテレサだけだ、俺や母ちゃんにはない!」


話を聞けば家名を貰ったのは5年ほど前でとある功績で家名とお金が王家から渡されたらしい。その功績とは最初のエルフの言霊の献上だったらしい。それから5年、今回は10個のエルフの言霊の献上、間違いなく貴族の仲間入りをするらしい。


「凄いですね、大出世じゃないですか!」


「ガハハ!そうだな!それで浮かれて二日酔いだガハハ!」


部屋に着いて、お金の用意をするから待っててくれと言われたのでそのまま待っていると、テレサが入ってきた。


「おや、マキノは?」


「お金を取りに行ってます」


「そっか、ん?それが今回の商品かい?」


「はい、石鹸ですね」


「いい匂いがするし、色も真っ白で綺麗だね、花の型まで彫られている…大分拘っているんだね」


「えぇ、まぁ」


真剣な顔つきになり石鹸をマジマジと見つめその評価をする、実際に俺が作った訳ではないのであまりつっこまれても困るのが本音である。その時マキノが部屋に入ってくる


「見た目だけじゃないぞ!その効きめもバッチリさ!キッドの肌を見ろ!」


「確かに、冒険者なのに綺麗な肌だね。髪も艶があっていいね。この石鹸を使っているのかい?」


「いいえ、髪は別のを使っています。器さえ用意してくれればそちらも納品できますが」


「何!本当か!是非頼む!器はポーションの器で大丈夫だろう!ちょっくら行ってくるから、クレア、この場をたのむ!」


「おいおい、知った顔でも失礼だろ、ちゃんと自分でやりな!」


「いや、善は急げだ!頼む!」


「そんなにいい石鹸なのかい?」


「あぁ、正確にはシャンプーって言うらしい!貴族に高値で売れるぞ!俺は最初シャンプーが欲しかったが妥協して石鹸にしたんだ!じゃあ行ってくる!」


何がじゃあなのかは分からないが話は終わりだと言わんばかりに飛び出していってしまった。


「ったく、エルフの言霊でも十分だっていうのに。アイツは」


「あの、俺はどうしたらいいでしょうか?」


「あぁ、すまん!とりあえずは石鹸は受け取ろう。これがお金だ」


「はい、ありがとうございます。」


15万ピザあることを確認し石鹸を渡す。


「正直シャンプーについては何とも言えない。マキノとは相談するので今夜宿に帰った時に話をさせるよ。」


「わかりました。材料はあるのでいつでもすぐに作れますので」


「わかった。良い取り引きになる事を願っているよ!あとクレアによろしく言っといてくれ、その内飲みに行くと」


お互いに握手をしてノーズ商会をあとにする。


 しかしクレアさんとテレサさんが姉妹だとは驚いた。テレサさんはシュっとした、どっちかというと華奢な体つきで知的なクール系の美人であり、クレアさんは福よかな、THEおばちゃんって感じの人だ、タイプが正反対だろなどと、考えてていると、クレアの事をおばちゃんと思った瞬間に何故かゾワっと寒気がしたので、クレアさんはお姉さん、クレアさんはお姉さんっと、つぶやきなが市場に向かうキッドであった。

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