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推しは少しずつ貴方が気になっているようです

評価、ご感想ありがとうございます!!励みになります。

 

 それからエドは無言のままフラフラと立ち上がり、馬車に乗って帰ってしまった。


 ────生理的に受け付けられないタイプだったんだわ!?


 流石にショックだ。

 でも、受け入れられないものは仕方ない。

 例え今後、彼の相談役(いいポジション)にはなれなくても、私は推しの幸せを祈る腐女子。無理は言わない。推しを遠目から見るだけでも満足しなくちゃ……、そう自分を慰めながら暫く落ち込んだ。

 

 

「ソフィア! 王子は本当にお前にぞっこんじゃないか! 先日会って7日も経っていないのに手紙が届いたぞ!」


「え? エド様から?」


「はっは! 何か欲しいものがあったらパパになんでも言いなさい!」


 ご機嫌な父の横で、エドから手紙が届いたことにホッと胸をなで下ろす。


 父の視線が邪魔なので自室に戻り、早速もらった手紙を読み始めた。そこにはリリアナの優秀な仕事っぷりが書いてあった。エドは今まで病気になっても適切な治療を受けられなかったそうだ。だが、リリアナが医者を手配して初めて適切に処方された薬を飲んだ。

 薬の効果を感じた喜びなどが綴られていて感謝が伝わってくる。


「へぇ、リリアナったらやるじゃない」


 これは、リリアナに追加ボーナスかしらと思いながら、手紙の返事を書いた。


 返事を書いたらまた届く、届いたから出す。丁寧に執筆された几帳面な手紙。それが届くのがいつの間にかとても嬉しく胸が温かく────……


「──はっ! 推しとの文通しちゃってる!?」


 さらに嬉しいことに、三か月後再びエドが屋敷にやって来たのだ。

 その馬車から出て来たピッカーッと光り輝くエドを見て、眩しくて目を瞑った。


「ごきげんよう。ソフィア。久しぶりだね。どうしたの? 不思議な顔になっているよ?」


「ご、ごきげんよう……、エド様、体調がよろしいようですわね」

「あぁ、君たちのおかげだ」


 相変わらずリリアナが良い働きをしているようだ。


 一番良い部屋を案内するようにと言われていたが、この元気な様子ならテラス席でも大丈夫だろうと、メイドに伝えてテラス席へ案内した。




 エドの肌や髪は以前に増して艶々している。あまりの美貌に何度もチラチラ伺っていると彼と視線が合い、ふっと笑われた────……はうぁ!! 眩しい! 


「リリアナのおかげで母も僕も安心して食事を摂れるようになったんだ。だからかな、最近は薬を飲まなくても体調が良いんだ」


「まぁ! それは良かったですわ!」


 自然にニタニタと口元が緩んでしまう。じっと彼がみつめてくるので、口角に力を入れて真顔を作る。


「私は王宮で人の顔色ばかり見ていた」


「そうでしたか」


 繊細なエドは、周りをよく見てそして人の苦しみを分かってあげられる人だ。王族として出来ることを考えて、人一倍苦しんで弱い自分を嘆いていた。

 だけど、それは……、ふふ、オーガスティンという貴方の騎士が助けてくれるはず。むふふ。



「悪意には敏感なんだ。……君に悪意はないのは分かっていたけれど、手を貸してくれる理由が分からなくて。素っ気ない態度ばかりとってすまなかった。今は、君が本当に私を助けたいと思ってくれているのが伝わっているよ」



 最後は頬を染めながら、少し下を向き加減で私を見つめたエドが…………────推せる!

 その表情だけでご飯百杯いけます! 

 凄い、ちょっと健康になっただけでこんなにキラキラに光り輝くなら、もっと健康体になったら益々キラキラしちゃうんじゃない!? もっと健康になってぇ!


「これからも仲良くして欲しい」


「……」


 さらに推しからそんなことを言われたら……


「ちょっと嬉し涙が……私ごときに、そのような極上の笑顔を頂戴いたしまして、うぅ~こちらこそよろしくお願いしますぅ」


「ソフィア、君は少しオーバーだね。ふふ」


 私の名を呼びながら、エドがそっとハンカチを手渡してくれる。今までで一番彼らしい優しい微笑みだった。





 それを機にエドはよくフローレンス家によく遊びに来るようになった。


 週一の頻度だ。同学年の知り合いは私だけだと聞くし、遊び相手が欲しいのだろう。

 彼にその相手に選ばれたことが純粋に嬉しい。

 それに王宮では肩身は狭いのだと思う。ここによく来るのは彼の取り巻く環境からとも考えられた。う、嘆かわしい。

 


 無理をさせない程度に気づかいながら、テラスで本を読んだり、部屋で勉強をしたり、互いに好きなことをして過ごす。

 王宮にいる間、勉強しかすることがないとだけあってエドは優秀だった。学園に通っている私以上の知識を持っている。


 それが身体が病弱というだけで、学園に通えず、力を発表する機会に恵まれないなんて。

 ────いや、その身体だって、一年前に出会ったころよりずっと良い。彼を学園に復学させないのは何故だろうか。


 ふと疑問に思った為、リリアナに調べさせた。これに関しては悪意ではなく子を思う母メイジアのせいだった。息子可愛さ、病弱ですぐに熱を出し倒れてしまうイメージで外に出したがらないそうだ。


「王子の状態は定期的に医師に診せているのよね? 健康状態は悪くないのでしょう?」


「はい。普通の運動は許可がおりています」


「……では、やんわりとメイジアの意見が変わるように誘導してくれないかしら」


 リリアナから簡単なことのように言うなと注意を受けるけれど、彼女ならばうまくメイジアを説得できると思った。






「ソフィア、聞いて。学園に復学する許可がおりたんだ」


「まぁ!? 学園に。それは喜ばしいですわね!」


「真っ先に君に聞いてほしくて!」


 メイジアの事を上手く説得できたようだ。指示を出して一か月。なかなか頑張ってくれた。


 実は彼と私は同じ学園に通っている。男女で校舎が分けられていて男女の遭遇率は低い。

 今、学園内で人気を集めているのはオーガスティンだ。彼の姿を拝見したいと思いつつ、あまりの人気っぷりにまだハッキリと見たことがなかった。


「エド様の姿を学園でも拝見できると思うと、嬉しさに震えますわ」


 本篇ではずっと休学していた時期だ。つまりそれは、エドワルドとオーガスティンのツーショットがずっと早くに見れるかもしれない!


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