翌朝の晃君
「はぁ……」
「でかい溜息だな」
「あきちゃんどうしたのー?」
いつもの様に河藤兄妹と登校中、昨晩キャロルに言われたことを思い出してしまい思わずため息を吐いてしまった。
「あれ?そんなに大きかった?」
「ああ、聞いてくれと言わんばかりだったぜ」
「うん。大きかったよー」
「そっか……」
相方がオンラインゲームにしばらく接続しないってだけなのにな。
女々しいと内心では思っているのだが、どうしても気分が沈んだものになってしまっている。
「って、黙るのかよ!」
「え?何が?」
「あははは。あきちゃん上の空だー」
「そこは溜息の理由を話すところだろ!」
「そうなの?」
「うんうん。とっても気になるよー」
「そっか……」
どうやら河藤兄妹にも心配をかけてしまったらしい。学校に到着するまでになんとかしないといけないな。
……そういえば、しばらくってどれくらいになるのかな。せめてだいたいの期間を聞いておけばよかった。
「って、結局黙るのかよ!!」
「あ、ごめん。聞いてなかった。もう一回言って」
「だーかーらー!」
「あははは。今日のあきちゃん凄ーい」
何がどう凄いのかわからないが茜は始終笑いっぱなしで、大助が上の空になっている僕に話かける。
この流れが教室に到着するまで繰り返された。
教室に着くといつものメンバーが僕の周りに集まってくる。
「真樹ちゃーん。今日のあきちゃん凄いんだよー!」
「聞いてくれよ衛!あきらのやつがさー!!」
そしていつものように会話が始まった。授業まで後20分ほど余裕がある。
皆の会話を聞き流しながら、今日は「アース」で何しようかなと頭を巡らせる。
『剣士はキャロルと一緒に上げるって約束したから、やっぱりソロで魔法使いか。
キャロルと遊ぶようになってから全く顔を合わせないってのは初めてかもしれないな。なんだかんだで毎日30分は必ず遊んでたからなあ』
◇
「……重症ね」
「……そうみたいだな」
「でしょー。登校中もずっとこうだったんだよー」
「ったく!あきらのやつ人が話しかけても全部聞き流しやがんの!」
「どうしたのかしらね?」
「昨日はこうじゃなかったよな?」
「昨日は一緒に帰ったけどこんなじゃなかったよー」
「だったら家に帰った後になんかあったのかしら?」
「どうせ例のオンラインゲームだろ」
「でも、今の晃君の症状って恋煩いみたいよね」
全員視線を晃へ移す。
視線は一点を見つめているが定まっておらず。時折、切なげな溜息を吐いている。更に、たまに顔がニヤついたりしている。
「……なんというか、今の晃は、ヤバイな」
「そうね。友達じゃなかったら絶対に近寄りたくないわね」
「うん。今のあきちゃん気持ち悪いー」
「衛。友人としてなんとかしてくれ」
「俺に振るのかよ!付き合い長いんだから大助がなんとかしてくれよ」
「無理だ。こんなにキモいあきらは初めて見る」
「なら俺とかどうしようもないだろ!?付き合い高校からだぞ!?」
「いや、お前ならできる!むしろやれ!」
「あれ!?命令!?」
真樹は男連中がわいわいとコントを始めたのを呆れ顔で見る。
ふと気がつくと親友である茜が会話に参加していない。
「茜?どうしたの?」
「あ、真樹ちゃん。何かね今のあきちゃん見てると胸が痛いんだー。なんでかな?」
「そうなの?それは私にもよくわからないわね」
どうやら私の親友は胸の痛みがどこから来ているのかわかっていないらしい。
しきりに「なんだろう?」と首をかしげいる。
後ろに目を向ける。男二人はまだコントを続けている。
「ふぅ……。これから大変ね」
そう呟くが、それに反して顔には笑みを浮かべていた。
(゜д゜)
((゜д゜;)) <あ、あれ?おかしいなこんなはずじゃ・・・。
(((゜д゜;)))<キャラが暴走して恋愛小説になりかk・・・・。