昼休み
連載のペース上げたいとか言っておきながら、結局5日放置したのは私です。 楽しみにしてくださっている方、本当に申し訳ないです……。
「……凄い人だな」
大助が呆れた様に呟く。視線の先には我先にと、転校生に押しかける人の波が出来ていた。彼女の席は中央の最後尾に配置されている。その為、少し離れた位置にある僕と茜の席には被害がない。
現在は昼休み、衛を除くメンバーが集まり、食事を摂りながら事の成り行きを見守っている。転校生について僕はさほど興味がなく、茜はあの集団に入っていく勇気・体力がなく、真樹と大助はめんどくさいので後で衛に聞くそうだ。衛は言うまでもなく最前線にいる。真っ先にスリーサイズを聞いて、一度は女性陣に摘み出されていたようだが……。
「休み時間はクラスメイトだけだったのにな~……」
「仕方ないだろ。凄い美人だぜ?男連中が放っておくはずがねぇ」
「確かにねぇ。あれじゃ嫉妬するのも馬鹿らしいわよ」
「そうだねー」
この事態を引き起こした張本人は人垣が邪魔で見ることが出来ない。というかあの状態で昼食は摂れるのだろうか?
「飯時くらいゆっくりさせてあげればいいのにね」
「無理だろ。一般人が素手で熊とタイマン張るくらい無理だ」
「一般人じゃなくても無理だと思うわよ?」
「熊さんいじめちゃダメだよー」
どうでもいいことを話ながら、今度は視線を廊下へと向ける。廊下では一体いつ用意したのか、応援団が掲げていそうな旗に【キャロル様 親衛隊】などと書かれている。廊下から聞こえてくる限りでは既にファンクラブの会員は3ケタに到達したようだ。恐らく1週間以内に4桁に届くだろう。茜の時がそうだった。そして茜のずれた発言はスルー。
「なんというか、凄いね」
「そうだな」
「ここまでくるとかなり引くわね」
「目がギラギラしてるよー」
茜の言う通り目が血走っている輩が結構いる。見ていてかなり怖い。
「それにしても、二人はよく平気ね?」
たぶん転校生に関してだろう。何しろクラスの男子は僕ら以外全滅している。
「僕には分不相応だからね。なんというか、近寄りがたい」
「俺は単純に興味がない」
「晃君のはわからなくもないけど……。大助の発言は噂の信憑性を上げることになるわね……」
「噂ってどんなのー?」
目を瞑ってうんうん頷く真樹。茜が僕と大助も思っただろうことを聞いてくれたので黙っている。それを正しく理解したのだろう真樹はこちらに視線を向ける。
「……聞かないほうがいいわよ?」
そんな言い方をされたら余計に気になってしまうのが人情である。間違いなく理解しているのだろう。何とも嫌な笑顔を浮かべている。
「そんな聞かれ方されたら余計に気になるよ」
「そうだぜ。あきらの言う通りだ」
「私もあきちゃんに賛成だよー」
それを聞くと真樹の浮かべていた嫌な笑みが更に深いものへと変わった。どうやら、僕らは早まってしまったようだ。まだ聞いていないが、なぜか確信が持てた。
「そう……。そこまで言うのなら教えてあげるわね」
既に聞くのが怖くなっている僕がいる。茜も大助も真樹のなんとも嫌な笑みに気が付いていないのか、僕が見ている限りではなんとも余裕のある態度をとっている。
「なんでも河籐兄妹は晃君を巡って三角関係になっているって噂よ?」
「「「……」」」
言~葉に~できな~い♪……はい。現実逃避終了。
「「「えええぇぇぇーーー!!!」」」
「3人とも、うるさいわよ。注目集めちゃってるじゃない」
「いや、僕らからしたらそれどころじゃないんですが!」
「そうだぜ!というか俺があきら狙ってるとかおかしいだろ!?どんな発想だよ!」
「そんなことになってたのー?」
「「いや、なってないから!」」
無視できないボケかたをした茜に僕と大助が食いつく。脳内でこれを無視したら大変なことになると警告が出てる。
「当事者から事実確認が取れたわね」
「「取れてない(ねぇ)よ!!」」
「困ったねー?」
「「本当にね(な)!!」」
「男性二人が見せつけてくれてるけど、茜は参加しなくて大丈夫?晃君取られちゃうわよ?」
「えー。……参加したほうがいいのかなー?」
「「するなあああぁぁぁーーー!!」」
僕と大助の絶叫は、昼休み終了のチャイムと重なり、綺麗な三重奏を奏でていたという。
放課後も、書くべきなのだろうか……。 進めるべきか、おとなしくすべきか、そこが問題だ……。
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