一つ目の試練 (5)
舗装された道へ出た。
ここからが本来のダンジョンなのだろう。その割に先が思いやられる罠が仕掛けれていたが……。
立ち止まっていても始まらないので、周囲を警戒しながら一本道を進んでいく。洞窟と違い今回はすんなり分岐点に辿り着いた。毎回あんな罠が道に仕掛けられていても困るのだが……。
「ここにも謎かけみたいなのがあるのか?」
周囲を探索してみる。しかし、周囲には何も見当たらない。
『つまりヒントは無しということか。』
二つの通路を見比べる。
「あれ?」
ヒント、というか答えは通路の入口付近にあった。
「右は赤い線が入っていて、左は緑の線か……」
これもまた五行に関することだろう。
確か赤が南で鳥、つまり朱雀を表したはずだ。なら緑が龍なのだろう。青龍というから青色のような気がするが、そこは信号機と一緒なのだろう。
適当な結論に至ると左に向かって歩き出す。
ふと立ち止まって振り返る。
『南を表す印があるということは、岩の罠で南に行った人もここに辿りつけるのだろうか?』
ちょっとした好奇心が湧いた。赤色の道に行ってみたい衝動に駆られる。
「いや、やめとこう。下手なことをしたらゲームオーバーになりそうだし……」
後ろ髪を引かれながらもその場を立ち去る。
周囲に目を配りながら歩いて行ると、次の分岐点もすぐに現れた。
ここの分岐でもさきほどと同じように通路の入口に色の付いた線が書かれていた。
「ここは緑と黒か」
左が黒で、アース君が言っていたこともあるので北だ。なら右の緑だろう。
僕は迷わず右の道へと進んでいく。
左の道に背を向けた時、背後から水の流れる音が聞こえた気がした。