一つ目の試練 (3)
べ、べつに某映画を見た訳じゃないんだからねっ!
※18話のことで友人に「イン〇ィジョーンズかよ!」と突っ込まれたので・・・。
「逃げ切れなくない!?」
すでにだいぶ距離を詰められているのだが……。
どれだけ走っても横道もなければ終着点も見えてきそうにない。
「これはどうすればいいの!?」
走りながら周囲にも注意を払う。
何か見落としたらそこでゲームーオーバーになりかねない。とんでもない焦燥感に襲われるが、それでも壁や床、天井に至るまで視線を巡らせる。しかし何も見つかりそうにない。
岩はもう背後まで迫っている。
「詰んだか……」
僕が諦めてそう呟くと同時に、僕のキャラに岩が衝突した。
「はあ、ゲームーオーバーか……」
思わずため息が漏れる。
いくらなんでもこれは酷いんじゃなかろうか……。
出口のない迷路に放り込まれるようなものだ。
「そういえば罰ゲームみたいなのがあるって言ってたっけ……」
こんな理不尽なクエストで更に罰則があるというのだから堪らない。目の前で画面が暗転する。
『これは完全に詰んだな』
そう思い、もう一度溜息を吐いた。
「……あれ?」
暗転から回復すると、ゲームオーバーなどではなく普通にムービーが始まった。
薄暗い洞窟の中を、僕が操作していたと思われる魔法使いが駆けて行く。その背後には地響きを上げながら迫ってくる巨大な岩がある。
「はあ……。はあ……。くそっ!このままでは……!……ん?」
魔法使いが何かに気が付き、画面が正面に流れて行く。進路の先には十字路が待ち構えていた。
「……」
言葉がでない。
陳腐な動画が終わり元の画面に戻る。進行方向にはいつの間にか十字路が出来ていた。
更に接触したはずの岩との距離もだいぶ開いていた。
変な遊び心も大概にしとけよと思わずにはいられない。完全に脱力したが、僕は気を取り直すと十字路を見る。
後ろには下がれないので、選択肢は3つ。このまま岩との追いかけっこが続く正面の道、どうなるかわからない左右の道、少し離れたとはいえあまり考える時間は与えられていない。
少し迷ったが、腹をくくると十字路へと駆けだした。