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噂(2)
「ふーん、転校生ねぇ」
「衛の情報だと外国人らしいよ」
「外国人……」
真樹はそう呟くと考え込むように腕を組んだ。何か呟いているが、声が小さくて聞き取れない。
「真樹?どうかしたの?」
「え?ううん。ただ、こんな時期に来るのが珍しいなって思ってね」
「そうだよねー。珍しいよねー」
茜が会話に入ってきた。どうやら衛と大助がいつも通り漫才を始めたのでこちらに来たらしい。
「茜。どんな会話の流れかわかってるよね?」
「え?も、もちのろんだよー?」
声がどもっているし最後が疑問形だ。しかも視線が合っていない。二人で疑念の混じった視線を送る。
「うっ……。わ、わかってるんだよ?本当だよー?」
「だったらなんで最後が疑問形なのよ……」
「じゃあ茜、何の話をしてたのか言ってみてよ」
「え゛」
真樹が溜息を吐いている。僕は苦笑いを浮かべて茜を見る。
茜は何やら小声で言い訳を並べているようだ。
「全員席に着け~」
そこで、先生が教室に入ってきた。