序章:世界観の説明
オンラインゲームがわからない方にはわかりにくいかもしれません。
アース
それは僕が現在プレイしているオンラインゲームの題名だ。このオンラインゲームは名前の通り地球全体がフィールドとなっている。小さな島々まで細かく作りこまれているのだから面白い。
『担当する地域ごとにスタッフを送り込んで作っています』
とは制作会社の社長の談だ。
たかだかオンラインゲームにそこまで……。と思わなくもなかったが突っ込んだら負けだろう。だがそういうだけあって作りこまれており、ゲーム内を通して小旅行に行っているような気分になれる。
ゲーム内には飛行機というものが存在せず大陸の移動は船になる。
天候まで設定されており嵐の日に船出すると十中八九沈没するというイベント付きだ。
そういう僕も始めたばかりの頃に沈没イベントをやってしまっている。船に乗って少し移動したと思ったら画面が暗転しムービーが始まった。
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「船長!船が持ちません!!」
「やはり無理だったか……」
「船底に浸水!!」
「塞がせろ!」
「無理です!手の空いている者がいません!!」
「乗客でもなんでも使え!!」
「船長!!」
「今度はなんだ!!」
「正面に、高波です!!!」
「なっ!!」
「駄目です!!飲み込まれます!!」
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セリフはこんな感じだった。
情報サイトによるとキャラクターのパラメータ次第で渡りきれるらしい。
ちなみに沈没イベントだけで数種類存在するらしい。僕が当たってしまった「高波」、他にも「渦潮」・「転覆」・「座礁」・「モンスター遭遇」などである。全部にそれ専用のムービーが入るとのことだ。
会社が会社なため、他にもイベントがあるんじゃないかと日々沈没を繰り返す酔狂な輩まで出る始末だ。
沈没イベントに会うとレベルは変わらないが、身につけていた防具以外の全ての道具を無くし、敵レベルの低いモンスターが出る浜辺にランダムで送りこまれる。
公式曰く、そのランダムイベントでしか行けない場所もあるのだそうだが、辿りつけた人はいないそうだ。
海を渡るだけでこれなのだ。
このゲームはやりこみ要素が高すぎてある意味で魔境と化してしまっていた。
プレイヤー人口は全世界合わせて1億人ほどだろうか。
イベント数は会社側でも把握できていないんだとか……。
ハワイ諸島だけでイベントが200個近くあったそうで、会社では数えるのを放棄したらしい。
ジョブ数は日本国内だけで3ケタ近くあるのでこれも数えていないのだそうだ。その中にサラリーマンを見つけた時には数秒間停止してしまった。完全に絶句したのは魚だったが……。
言語文化も様々なところから仕入れてあるが、特定のアイテムが翻訳機となっておりそのアイテムを入手すれば自動で翻訳してくれる。
有名所というか英語に関しては特定の店で買うことができる。英語があればそれほど困らないのだが、特殊な言語はイベントを通して手に入れなければならない。
僕はめんどくさそうなのでやってないが……。
このゲームはステータスや装備品の自由度が高い。
個人のステータスでは「腕力・頭脳・魔力・体力・運気・回避・命中・素早さ」がある。モンスターごとにステータスポイントを貰え、各ステータス5000くらいまで割り振れる。
最初のジョブ設定でモンスターを選ぶこともでき、モンスター側を選ぶと海を渡ることが出来なくなる代わりに、森の中での縄張り争いや上下関係を決めるゲームになるそうだ。
他にもいろいろあるのだが、全て説明すると日が暮れるので割愛させてもらう。
アースの雰囲気はだいたいわかってもらえただろうか。
これが現在僕がハマっているゲームであり、この後に起こる出来事の舞台である。