第1話 会社の面接
初めましての方は初めまして
初めましてじゃない人も初めまして
ということで無理せずに読んでいたたげると嬉しいです
「あぁ…俺は何故この歳になっても無職なんだ」
俺は所謂、社会不適合者と言うやつだ。
まぁつまりもうすぐ三十路にもなるおっさんが親のスネかじって部屋に引きこもり、オタ活をしているただのニートというやつ。
「幸宏…そろそろ仕事…」
「母さん、ごめんやっぱり無理だよ俺には」
そうだ、俺がなんでこんなになったのか教えてあげよう絶対需要は無いけど。
俺は元々ちゃんと仕事はしていたし結構信頼もされてた、と思う、多分。
きっとそれが仇となったんじゃないかと思う、俺は職場内でいじめにあった、そもそも俺を嫌ってそうな人は一定数いたこれも想定の話になるけど俺が上司から好かれてたのが原因で妬まれたんだと思う。
それからというもの、典型的ないじめから、陰湿ないじめまで受けた、それでも親孝行したかったしこれまでの恩返しもしたかったから…それと、この歳にもなっていじめられました助けてくださいなんて堂々と言えるわけがない。
それからは簡単、俺はその会社を辞め、ついでにトラウマになったのでニートになったという訳。
正直めんどくさいと思う、俺。これだから彼女が出来ないんだよくそっ…
「幸宏…でも、このまま家に引きこもるつもりなの…?」
「ごめん、ごめんでもやっぱり無理なんだ……」
トラウマと言うやつは怖いもので中々克服なんて出来ない
いや、違うな、しようとしても出来ないだ。
トラウマってやつは似た状況になった時昔のことが鮮明に思い出される。
トラウマを持ってるやつが、トラウマをフラッシュバックされたらどうなる?そりゃパニックぐらい起こるだろ
しかも俺のトラウマは厄介で、会社員やビルを見ただけでフラッシュバックする
ほんと俺めんどくさいな…自分で認めちゃうよ?俺
「幸宏、だったらこれ柚里ちゃんがあなたにって…ここに置いておくから、少しでも見て頂戴…」
そう言って母さんが置いて行ったのは、会社の面接の紙
実を言うと俺には幼馴染がいる。しかもめっちゃ可愛い。
学生時代、不幸か、それとも幸福か柚里とはずっと同じクラスだった、そのせいか俺は浮いた存在だったが…
そもそも柚里は性格良し、運動神経良し、頭脳良しの三点セットだ、俺が対等に話せる相手じゃなかった
けど、柚里は俺を見捨てたりなんかしない!なんてったってクラスのアイドルだからな!
ついでのついでに幼馴染、だからかよく話してたし遊んでたそんな柚里が俺を気ずかってこれを俺に渡してきたんだろう
そうじゃなきゃ、クラスのアイドル的な存在だった柚里がこんな俺に手を差し伸べる訳が無い。
「柚里…嬉しいが、俺は…」
俺は社会不適合者だ。俺には無理……
いや、やってみるかこれはトラウマを克服するチャンスってやつかもしれないしな
◇
「やっぱ無理かも…柚里…」
1週間後俺は柚里がくれた紙に書いてあった場所に面接を受けに行っていたが…
これは無理だ、うん無理、そもそも人の顔もまともに見れないし、親以外と何年も喋ってないんだぞ?
よし!帰ろう!そもそも、俺があんな前向きになること自体おかしいんだ根暗で陰キャと高校時代いじられていた俺がそんな簡単に前向きになれるわけが無い!
はぁ…危ない、危ない昨日高校時代のあれこれを思い出したのが悪かった
あぁ〜高校時代は生き生きしてたなぁー、ほんとなんでもできると思ってたなぁ…
戻りてぇ、時戻してぇよぉー!!
「良し、帰ろうまた間に合う」
そうだぞ、俺無理に行くことは柚里は願ってないはずだ
よぉーしさっさと帰ろう、そんで最近ハマったゲームの続きでもするか、よし、そうしよう
俺は来た道を戻り家に帰ろうとした、すると曲がり道の先、少し先に見慣れた幼馴染がいた
「あっえ……ちょっ、」
やっべぇ、これじゃ帰れないじゃないか!柚里、お願いしますそこをどきやがれくださいお願いします、お願いします!
もう一度、曲がり角の先を見る、だが幼馴染はそこにいる
というか、もっと近ずいて来ている
「あー……やばくね?これ」
これは見つかったら、数年ぶりの再会を果たしたついでに俺が面接を受けに来たことを悟らる
ついでに強制連行されることだろうがそれはお断りだ
えーとこの場合どうするのがいいのやら、ここは妥当に回り道するか?
えー、でもやっぱそこら辺のコンビニに入って通り過ぎるのを待つか?
ん〜、と悩んでいると曲がり角から幼馴染がやってくる、まぁ案の定予想通り数年ぶりの再会を果たしてしまった
「え?!幸宏、もしかして面接?」
案の定面接のことを話題に出してくるわけで…柚里には悪いが陰キャにはこうゆう話は難易度が高いんだぞ?
自分のことを聞かれたら、何を言えばいいかわかんないし、下手なこと言ったらどうせ気を使って苦笑いするんだろ?知ってるよそれ地味に傷つくからな?!
「あ、うん面接…そっちは?」
さりげなく聞いてみる、正直今の俺の心臓はドッキドキだドキドキし過ぎてはち切れるかもしれない
「私は出勤だよ、幸宏は面接なんでしょ?頑張って!」
にこやかに答える柚里、やっぱりすげぇよこの子、数年ぶりにあった幼馴染、しかも相手はいじめられたからニートになった陰キャだぞ?
そんな相手に「さしぶり〜最近何してた?」みたいなノリで話しかけてくる
もう、俺柚里の隣で歩くのも話すのも辞めよ、俺がこいつを汚してるように思えてきた
「うん、頑張るよ、そっちも頑張ってな」
うん!といつものように答える、この笑顔高校の時から全然変わってないな…この笑顔で何人の男を虜にしたのやら
「あっ!そういえばあそこの面接官挨拶大事をにしてるみたいだから元気に挨拶するといいと思う!」
おいおい、俺に癒しを与えた上に、やる気までくれるのか…
お前、アイドル越えて天使だな
「おう!ありが……ん?」
何かが後ろから来てる?気のせい…じゃない!確実に何かが後ろから走ってきてる
謎の人物は奥の方にある向け道から辺りを気にしながら出てきたところ、俺たちを見つけこちらに走ってきているように見えた
こんな時に言うことじゃないが、俺は無駄に目がいい、数年間暗い部屋の中ブルーライトの光を浴び続けた今でもあんな遠くを見れるって、俺凄い!
っと、こんな冗談を言ってる暇じゃないかもしれない、すごいスピードでこっちに向かってきてる
よく見るとそいつは、黒いフードにマスクをして右手には包丁…あれ?これ俺たち刺されるんじゃ…?
「おい!柚里!逃げるぞ!」
とは言ったものの不審者はすぐそこまで来ていて、今まで引きこもっていた俺には逃げ切ることは不可能だ
「幸宏!ど、どうしよう!私このままじゃ」
「んな事言うなよ馬鹿野郎!想像しちまうだろ!」
まぁ想像したよね、ゾッとした…ん?なんでこんな状況なのに冗談ばっか言ってるかって?
現実逃避だよ、馬鹿かお前は
「っ……クソっ!」
そんな冗談を行ってる間に不審者は俺たちの後ろにピッタリと付いていて、逃げ切ることは不可能…
ここままじゃ、柚里まで道ずれだ、クソっ……
「柚里!お前足早かったよな?俺を置いて走れ!近くに交番あるはずだろ!そこまで全力疾走しろ!」
そんなこと言っても優しい柚里が聞くはずは無いと思っていた、俺の予想通り俺の要望は聞き入れてはくれなかった
だが、柚里をこんなことでは死なせたくない、柚里には両親と同じくらい迷惑をかけた
学校で1人だった俺にいつも声をかけてくれたのも、根暗な俺を無理やり外に連れて行って遊んでくれたのも全部柚里だった
今思えばこの面接の件も、俺が柚里にとって大切な存在だからだったんじゃないかと思う
でも、だからこそ、柚里は俺が助けたい、両親にまともに恩返しもしてないし、まだ親孝行もしてない俺が助けても迷惑極まりないと思うが
この俺の気持ちを素直を受け取って欲しい
「ザグッ______!!」
次の瞬間、俺は不審者に刺された刺されたことなんて無かったから今まで分からなかったけど
これは声を出せないくらい痛い、そもそも俺が刺された場所は急所だから声を出すまでもないが
あぁ…なんか奥の方から柚里の声が聞こえる…
ごめんな柚里……俺はお前の最後の声も聞けない最低な男で…
なんだかんだ言って…俺は柚里のこと好きだったんだな…
じゃあ謝っとくよ…こんな俺が好きになってごめん……
あぁ…あと思い残すことと言えば……学生時代もっと柚里に見合うように頑張れば…こんなことになってなかったかも…
まぁ……そんなこと、言っても……もう………遅いか……
◇
ん…?なんか聞こえる?
でも、俺死んだよな、もしかして生きてる?いや無いか、あの状況で生きてたら俺は超人だ
じゃあこの声はなんだ…?
「キュエルちゃーん、ほぉーらママだよぉー?」
キュエル?誰だそれ?
「キュエルー?パパだよぉー!」
は?ん?何言ってんだこいつら
「あら?何も言わないわね?大丈夫かしら?」
ちょっとまて、俺はなぜお姫様抱っこされている?そしてこいつらは誰?!
「ん〜、眠いのかしら?」
「そうかもな?一旦寝かせてやるか」
そう言われ、俺は寝かせられる、一旦落ち着こう、多分ここは俺の知らない場所、それで俺は知らない奴にお姫様抱っこされた
お姫様抱っこしてきたやつは自分のことをママとパパと言っていた……ついでに俺は今体が赤ちゃん並に小さい
いやいや、そんなわけはない、確かに学生時代夢には見たよ?異世界転生なんて、でも現実である訳ない
でも、もしそうだとしたら…?この状況納得出来る、というかそうじゃなかったらどう納得すればいいんだ
ということは?俺が中二~高二くらいまで夢に見てたあれが、現実に起こってる?
スゥ-…あぁ〜、わかった、わかった、これは…
「異世界転生」ってやつかもしれない…
読んでくださりありがとうございました。
誤字、脱字がありましたら報告よろしくお願いしますでは、また