第4話 海上から現れる足…
エクスプローラー号に黒い服に身を包んだ1人の男が縄梯子から上がってきた。
海賊達と戦う勇都とエキドナは、その男が目に入る。
勇都は、男の存在感と強さが肌で分かった。
片目に眼帯をし、右手にサーベル。左手には、エキドナと同じように短銃を持っていた。
「あ、あの男は!」
エキドナは、男を睨み走っていた。
男にレイピアを浴びせるエキドナ。
男は、エキドナのレイピアをサーベルで受ける。
「フューリー。お前か!」
「久しぶりだな、エキドナ…」
フューリーと呼ばれた眼帯の男がエキドナに笑顔を見せる。
エキドナは、短銃をフューリーの顔に向けて狙いをつける。
フューリーは、足でエキドナの腿を蹴り逃れる。
「お前達海賊の思い通りにはさせない。この船は護る!!」
エキドナは、レイピアでフューリーを突いて行く。
「俺も好きでお前達の邪魔をしているわけじゃないんだよ。」
フューリーは、再びエキドナのレイピアをサーベルで受け止める。
エキドナとフューリーは、近づき鍔迫り合いの状態になる。
「エキドナ…この海域はヤバイ。速く出て行け…奴が…くる…」
フューリーは、エキドナの耳元で囁く。
「なっ、奴…。ま、まさか…」
エキドナの背後に1人の海賊が迫る。
「お頭はおらが守るだっ!死神ジミー様が始末するだ!!」
バンダナにドレッドヘアの肌のひょろっとした黒い男が鋭い鎌をエキドナに振るおうとする。
「うおおっ!!!」
勇都は、ジミーに体当たりし吹き飛ばす。
体勢を立て直すジミー。
「おらの邪魔をするな!!!」
ジミーは、勇都に鎌を向ける。
勇都もサマエルが姿を変えた魔剣グランベリーを握りジミーに向けていた。
ドゴン
突然、エクスプローラー号の船体が揺れる。
船体の底から何か打ちつけたような衝撃だった。
甲板に居た全ての者の動きが止まる。
「来るのが…速いぜ…野郎ども、撤収だ!!!!!」
フューリーは、笛を吹き鳴らす。
「チッ!」
ジミーは、勇都に舌打ちしその場から去る。
「ま、待てっ!!」
エキドナは、フューリーを追いかけようとする。
フューリーは、去り際にエキドナに笑顔を向ける。
「速くお前らもこの海域から離脱しろ…」
すると海上から激しい音がした。
海上には、一本の足の様なものが現れていた。
それは、とても白くうねうねと奇妙な動きをして、吸盤の様なものがある。
エキドナは、凍り付いた表情をしながらも叫ぶ。
「クラーケンが来た!皆、全速力で逃げるんだ!!」
エクスプローラー号の水夫や用心棒、冒険者達が青ざめる。
「ヤバイ。遂に来た!」
「海の悪魔め!!」
皆、船内に戻って行く。
「ユウト。戻るぞ。」
エキドナが、勇都に近づく。
「クラーケン?そんなに凶悪なんですか?」
勇都は、エキドナに質問する。
エキドナは、その問いに答える。
「ああ、最悪だ。奴に襲われればこの船も壊される。逃げる準備をしよう。手伝ってくれ。」
勇都は、頷きエキドナと共に船内に入る。
勇都達が船内に入ると同時に海上から大きな泡が浮かぶ。
そして、凄い勢いで何かが浮上してきた。
それはイカの頭であった。
クラーケンと呼ばれる巨大な海のモンスター。
数本の足もうねらせながら、エクスプローラー号を大きな目で凝視していた…




