第3話 嵐の海上…
勇都は、トルネオ商会のエクスプローラー号に乗り2日後が経過していた。
エクスプローラーの船上では、海賊達の襲撃に逢い、水夫や用心棒、船内にいる冒険者達が総出で応戦をしていた。
勇都の目の前には、顎髭を生やした、曲刀を持った海賊が襲い掛かってきた。
「ひゃははははっ!この船の宝を奪いつくしてやるよ。死ねや!」
曲刀が勇都に伸びて行く。
勇都は、サマエルが変身した魔剣グランベリーで曲刀を受け流す。
「気配隠蔽!!」
勇都の全身に電流の様な衝撃が走る。
勇都の姿が消えていく。
「え、あ、い、居ない。ど、どこ行きやがった?!」
海賊は、勇都の姿を見失い辺りを見回す。
ゴン
「う、あ、がっ…」
海賊は、後頭部を打たれ悶絶していた。
勇都がグランベリーの柄で打ちつけていた。
「おらっ!女!武器を捨てて降参しろ。抵抗しなければ命だけは助けてやるぞ。」
斧と槍を持った海賊が、1人の女性を攻撃していた。
顔立ちが綺麗で美人であった。
鳥の羽が付いた帽子を被り、髪が長く片手にはレイピア。
もう1つの手には、短銃を持っていた。
「誰が降参なんかするか!私を見くびるな!!トルネオ商会の用心棒、エキドナだ!!」
エキドナと呼ばれた女性は、素早くレイピアを海賊に放つ。
「あっ…」
エキドナは、足を滑らせて一回転し背中を打ちつけた。
甲板は、海の水で水浸しになって滑りやすくなっていた。
「い、痛い…」
エキドナは、背中を強く打ちつけ悶絶する。
「へへっ。姉ちゃん。威勢はいいがもうおしまいだぜ。」
前歯のない海賊がエキドナの首に斧を向ける。
「しか~し、あんたいい女だなぁ~。」
槍を持った海賊が、エキドナの頭の後ろに立っていた。
「う、ぐっ…」
エキドナは、海賊達を睨む。
海賊達は、厭らしい笑いを浮かべながらエキドナの顔を覗く。
その時だった。
「ポイズンウイップ!!!」
勇都が姿を現し、海賊達にグランベリーから放たれた紫の光を鞭のように振るう。
海賊達の背中に打ちつける。
「あおっ!」
「ぎゃっ!!」
海賊達は、体が痺れ口から泡を吐き倒れた。
「えっ、な、何…」
エキドナは、突然倒れた海賊達を見て驚く。
勇都の背後に、太った海賊がハンマーを持って迫る。
「これでも喰らえ。クソガキが!!!」
ドーン
「あ、う…が…」
太った海賊が腹から血を流し倒れる。
エキドナの持っていた短銃から煙が出ていた。
「だ、大丈夫ですか?」
勇都は、エキドナに手を差し伸べる。
「ああ。君、ありがとう。助かったよ。」
エキドナは、素直に勇都の手を取り起き上がる。
「君は、この船の乗客か?見た所冒険者みたいだが。」
「はい。僕はユウトって言います。」
「そうか。私は、エキドナだ。よろしく。」
勇都とエキドナの周りでは、水夫や冒険者、用心棒達が海賊達と戦っていた。
戦いは、激しさを増す。
武器を打ち合い当たる激しい音。
血を流し倒れる者。
海と、硝煙が混ざり合った複雑な臭い。
甲板では、混戦を極めていた。
青いバンダナの海賊達が次々と縄梯子を使い上がってくる。
「ユウトと言ったな。戦えるな?」
帽子を被りなおしたエキドナが勇都に聞く。
「はい。勿論です!」
勇都は、エキドナに答える。
「まだまだ来るぞ!行くぞ!!」
勇都とエキドナは、共に走り出していた。
船上に侵入した海賊達の群れに飛び込んで行った…




