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異世界で《毒使いアサシン》となり、冒険して生きます  作者: 金城凄
第5章 波乱のウォーターメロン水域…  ‐Raging watermelon waters-
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第2話 穏やかな航海…

 話は、2日前に遡る…




勇都は、ターメリクの外れの港町に来ていた。




チケットを購入し、船に乗った。




船は、この世界の海を航海するトルネオ商会の大型船だった。





トルネオ商会は、王都クックに本社があり、そこを拠点とし人々や、商品・貿易の運搬に力を入れていた。




大型船には、大砲も装備されており、商会が鍛え雇った水夫や冒険者も在中していた。




大型船の名は、エクスプローラー号と呼ばれていた。




勇都は、エクスプローラー号の中で1等船室を取った。




普段、お金も無ければ、他の者達と一緒の3等船室で、多くの者達と過ごし雑魚寝して過ごさなければならなかった。




しかし、闘技場で戦って得た高額な報酬があった。




それに、共に旅をしている毒の女神サマエルの存在を知られるわけにはいかなかった。





独り言でも呟けば、危ない人物だとマークされてしまう。




それに、日々の戦いで世話になっているサマエルに感謝の意を込めてと、部屋では人型になって自由に過ごして欲しいと言う勇都なりの配慮だった。





食事も部屋に運ばれてくるので、サマエルの栄養補給には好都合だった。





勇都は、エクスプローラー号の甲板に出る。










「うわ~、いい天気で風が気持ちいい。」









勇都は、外の解放感で気分良くしていた。




青く光る海の綺麗な色が果てしなく広がる。




外の日差しも時折、太陽が雲に隠れ、それほど暑くはなかった。




ターメリクの国の暑さに比べれば可愛い物だった。





勇都は、久々に落ち着いた時を過ごしていた。







「おい、兄ちゃん!釣りでもしないか?」






突然、甲板で釣りをしていた乗客の男達に呼び止められる。





釣り竿が掛かっていて、餌も用意されていた。





エクスプローラー号では、お客達のストレス解消の為に様々な物を用意していた。




船内には、ダンスフロアや定期的な時間にピアノ等の音楽を引く演奏者も居た。





釣りもその楽しみの内の1つであった。









(懐かしいなー。よく父さんに連れられて釣りに行ったな…)






勇都は、現実世界の事を少し思い出していた。







「はい、やります!」







勇都は、釣り竿を掴んだ。





…10分後…








「あっ、何かが掛かった!」








全くヒットが無かった勇都の釣り竿が動き始める。






勇都は、力の強弱のメリハリを付けて魚の動きを読む。










「お。この手ごたえ大物感がある。力が強い。ま、負けるかーっ!」







勇都は、釣り竿を放さぬように力を入れる。







「兄ちゃん頑張れや!あと一息だ!!」






「タイミングを間違えるな。よく見てな!!」







乗客の男達が勇都に助言する。








「よーし。来た。ここだっ!!!」






勇都は、力を入れて思い切り釣り竿を引いた。





針の先には、何かがくっついていた。




勇都は、甲板にそれを置く。







「あ、こ、これって…」







勇都は、言葉を失う。








「いやー、兄ちゃんよくやった。が、残念だな。こりゃ食べられないよ。」






「でもデカイなこれ。なかなかこのサイズは見たことないぞ!」








勇都が釣った魚。それは、トラフグだった。







1mの大きさだった。






「毒があるから海に帰してやんな。」





「ま、お疲れ。」






乗客達は、飽きたのかその場を離れて行った。










(勇都よ。フグの毒を取るのだ。我が血肉となる。そして、戦いで役立つぞ。はよう採取せい!!)







勇都の腰に差してある魔剣グランベリーに姿を変えたサマエルが勇都に指示する。








(よし、バレない様に毒取ろう。ごめんね。フグさん。)








グランベリーから紫色の小さな光が出る。






勇都とは、反対側の場所に海を見ている中年の夫婦の乗客が居た。




身なりの良い、高級な服を着ていた。




夫婦達は、海を見ながら会話をしていた。





「あなた。クックにはどれくらいで到着するの?」





「うむ。特に天候が荒れなければ3日だな。後は海賊が出なければいいのだがね。」





「あなた、本当に海賊は出るのですか?」






「最近は、このウォーターメロンの水域に多く出没すると聞く。まあ、世界のトルネオ商会の船だ。現れたとしても簡単に撃退してくれるはずさ。」






口髭を弄り、夫は自慢気に妻に語る。





「この海は、何処に繋がるんでしょうね?」




妻がうっとりしたように美しい青い海を見る。






「クックもそうだが、少し遠くなるが和の国と呼ばれるインゲン。それに…」






勇都は、夫婦の会話は聞こえなかった。




ひたすら毒を取る作業をしていた。





船首の先に子供達が居た。






「おい。この海はおっかないんだぜー!じいちゃんに聞いたら大きな魚やモンスターがいっぱいいるんだってよー。」








「あ、何か聞いたことあるよ。何か大きなイカのモンスターが居るって。船や人を簡単に飲み込むって。名前って何だったかなー?」








「確かクラーケンじゃね?!」








エクスプローラー号は、クックに向けて進む。





進むにつれて雲が少しずつ増えてきた。





勇都は、2日後に海賊と戦う事になるとは思いもしなかった。





そして、海のモンスターと戦う事にもなるとは予想だにしていなかった…








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