第1話 海賊襲来…
空は、大きな黒い雲が浮かんでいた。
時折、雷が鳴る。
荒れ狂う波に吹き荒れる嵐。
雨も降り、視界は見えにくかった。
海上に浮かぶ船…
船内は、大騒ぎとなっていた。
「おい!小僧!!速く大砲に玉を詰め込め!!!急げ!!!!」
「はい!」
全身傷だらけの厳つい水夫に指示され、勇都は、大砲に玉を運ぶ。
「う…ぐ…」
大砲の玉は、非常に重かった。
足場も波で安定しない。
胃が圧迫され吐きそうになるのを堪える。
「うう…ああ…」
指先が痺れ始める。
フラフラしながらも勇都は何とか運ぶ。
「そこに入れろ!」
背の小さい眼帯をしている出っ歯の水夫が勇都に叫ぶ。
勇都は、大砲に玉を入れた。
「よし、入ったな。撃てえ!!!!」
数台の大砲から玉が発射される。
目の前に浮かぶ赤いマストの黒い船に大砲の玉が直撃する。
「おい、ヤバいぞ。入ってきた!!」
甲板に居た髪の長い女性がレイピアと短銃を持ち構える。
青いバンダナを巻き、手に剣や斧を持った海賊達が雄叫びを上げて縄梯子を使い船内に入ってきた。
「全員戦うぞ!船を守るんだ!!!」
甲板に居た者達は、武器を抜いて構える。
勇都は、サマエルが変化した魔剣グランベリーを抜く。
(まだまだ海賊達が上がってくるぞ。勇都、油断するなよ。)
サマエルが、勇都に教える。
「本当に居たんだ。海賊…」
勇都は、目の前に現れた海賊達を見て呟いていた。
雨の勢いが更に強まる。
勇都は、顔に雨が強く当たり痛みを感じていた。
(出た時は、穏やかな海だったのに荒れてきたし、海賊も出るなんて最悪だ。)
勇都は、内心穏やかではなかった。
「ひゃははははっ!この船の物全て頂くぜ!!!おらっ!!!」
1人の海賊が勇都に向かって、曲刀を振り上げる。
勇都は、グランベリーを持ち海賊に向かって行った。
勇都が、ターメリックを離れ、王都クックに向かい2日が過ぎて起きた出来事であった…




