第26話 王都を目指して…
闘技場の戦いから3日が過ぎた…
闘技場は、観客席の破損や役員達の死によりしばらく修繕と確認の為封鎖となった。
勇都にとって、報酬がしっかり払われたことが救いだった。
結構いい額を頂きビックリしていた。
戦いの後、マキャーはいつの間にか報酬を貰い何処かへ去っていった。
ハザンは、傷を癒し、自分の未熟さを改めるために自分の国インゲンに戻ると勇都に告げて去っていった。
インゲンに来ることがあれば案内するとハザンは、笑顔で去っていった。
勇都は、ピジョンの街の宿屋で部屋を出る準備をしていた。
「いやー、やっとこの国から去ることができるな。もう行く場所もないし。」
毒の女神サマエルは、人の姿をしてベッドで寝転んでいた。
「師匠は、しょっぱいスイーツ食べたくないだけでしょ。」
勇都は、溜息を吐きながら身支度をする。
勇都は、サマエルと話し合った。
この国のダンジョンにも挑戦したいが、自分のレベルでは入れなかったり、砂漠のモンスターの強さも考慮し諦めた。
次に何処に行くのかサマエルと真剣に話し合う。
世界各地を旅する勇都達。
サマエルは、美味しいスイーツを食べたいと言い出した。
美味しい場所に行きたいと…
ならばこの世界の一番大きな都市。
この世界を治める頂点に立つ王が住む都であるクックに行ってみよう。
そこで腹いっぱいスイーツを食べたい。
サマエルは、そこに行くぞと勇都に宣言した。
王都クックに行くルートを色々聞いたり調べてみる。
ターメリクの左側に、ソルト山脈と言う高い長く連なる場所がある。
そこを越えればクックに入ることが出来る。
が、ソルト山脈は侵入することが出来なかった。
塞がれていた。
理由は、更に凶悪な未知なるモンスターが生息している。
毒や高温のガスが噴き出している。
サマエルの力で毒耐性があるが、全て防げるわけではない。
勇都の体も限界を迎え、死に至る可能性が非常に高かった。
ターメリクの一番北に港がある。
そこから船に乗ってクックに向かうのが最短だとわかった。
時間は掛かるが、正直その方法が一番安全に辿り着けるという判断に至った。
勇都とサマエルは、クックを目指すことにした。
「行きましょう師匠。」
勇都は、サマエルに向けて手を出す。
「うむ。行こうか。」
サマエルの体が紫色に光る。
サマエルは、魔剣グランベリーに姿を変える。
勇都は、グランベリーを掴んだ。
「王都には、何があるんだろうな。楽しみだ。」
勇都の顔は、希望に溢れていた。
明るく楽しそうだった。
勇都は、宿屋の部屋から出て行った。
そして、港に行くため、馬車のある場所へと向かう。
勇都は、闘技場の前を通る。
(さようなら…)
勇都は、封鎖されている闘技場に向かい心の中で挨拶していた…
▼勇都達がピジョンの街を出て3日後▼
深夜、封鎖されて静まり返る闘技場。
そこには、誰も居なかった。
が、ある者が入り込んでいた。
「魔王様から連絡が入ったけど、ケイトが死んだなんて信じられないブー。」
そこには、人間ではない何かが居た。
豚の顔をして、体は太っていた女性のシルエットをしていた。
ミポーだった。
「ゼノン様だけでなく、ケイト様も死ぬなんて…ケイト様も強いから簡単には負けないと思うんだけどなぁ~」
ミポーは、闘技場の中を見回す。
「あ、あった。」
闘技場の地面を見るミポー。
そこには、モンスターを強化させ操る為の桃色の太い針が落ちていた。
「ああ、ケイト様に渡したヤツだブー。もうこれ使えない。」
ミポーは、残念そうに針を見ていた。
「魔王様からゼノン様やケイト様を倒した者がいれば倒せと言われたけど、私わからない。一体どんな奴なんだろう?」
ミポーは、困った様な顔をしていた。
するとミポーは何かに気づく。
「ん、地面から微かに毒の匂いがする。何か何処かで嗅いだことがある様な覚えがある。何だろう?」
ミポーは、その場でぐるぐると回りながら考え込んでいた…
夜空に無数の星空が浮かぶ。
雲一つなく満天の星々があった。
その中で1つの流れ星が通り過ぎて行った…




