第24話 熊との死闘…
ケイトは、物凄い速さで突進する。
目の前に居たマキャー目掛けて突っ込んで行った。
あまりの速さに対応できないマキャー。
「うごっ!!!」
マキャーは、ケイトの頭突きを喰らう。
マキャーは、ゲートの壁まで吹き飛ばされた。
壁に打ちつけられたマキャー。
「う…ぐ、ぐふっ…」
マキャーは、口から血を出して気を失った。
「この熊野郎が!!」
銀等級のファイターのザバスが、大きなバトルアックスを振り上げる。
ケイトの背中に斬りつける。
血を流すケイト。
しかし、ケイトは、振り返り右手でザバスを引っ掻く。
ザバスは、バトルアックスを前に突き出す。
バトルアックスが引っかかれて壊された。
「な、なんて力だ…」
ザバスが驚く。
するとケイトは、ザバスの首に噛みついた。
「ああああああっ!!!!」
ザバスの首から血が噴き出す。
ザバスは、そのまま地面に倒れた。
「破邪顕正。禊風!!」
ハザンが刀を抜いて、振る。
真空の刃をケイトに襲い掛かる。
ケイトの顔に当たり、血が流れる。
「猪口才な。冒険者どもめ!!!」
ケイトは、ハザンに突進していく。
ハザンは、突進を躱した。
ケイトを斬りつけようとするハザン。
「い、いない?!」
ハザンは、ケイトの姿を見失う。
ハザンは、後ろに気配を感じる。
そこには、ケイトが立っていた。
「遅いわっ!!!!」
ケイトが左手の爪で、ハザンの背中を引っ掻く。
ハザンは、体を回転させ躱そうとする。
が、背中に強烈な痛みを感じる。
爪が背中に喰い込み一撃を貰った。
「ぬおっ!!!」
ハザンは、飛ばされ転がり地面に倒れる。
「あと、5人か。容赦はしないぞ。」
ケイトは、身を屈め4本の足でゆっくりと歩いて行く。
するとケイトの前に1人の男が出てきた。
勇都だった。
サマエルが変化した姿である魔剣グランベリーをケイトに向けていた。
「なんだ。小僧。死にに来たか。」
ケイトは、息を荒くし勇都に狙いを定める。
(勇都よ。あの熊の一撃は強力だ。手練れの冒険者達も倒すほどだ。喰らったらお前の体は吹き飛ぶ。よく動きを見よ。)
サマエルは、勇都にアドバイスしていた。
「小僧。俺は魔王様の手下だ。お前よりも強く力もある。お前の様な弱い小物に勝てる要素はない。奇跡などない。待っているのは、死だけだ。」
勇都は、グランベリーの柄に嵌めたサラマンダーの毒を別の物に交換しようとしていた。
しかし、ケイトの威圧感で体が動けなかった。
気を抜けば、近づいてきて一撃を喰らう可能性があった。
貰えば致命傷となり待っているのは、死だった。
膝がガクガクと震えはじめる。
「は、ははっ。こ、今回ばかりはヤバいかな…」
勇都は、ケイトと対峙し頭に死の文字が過っていた。
「せいやぁああっ!!!」
手にナックルを嵌めたモンクの冒険者が、突然ケイトの背中を殴打する。
銀等級のビリーだった。
短い髪で額にバンダナを巻いていた。
「俺がお前を倒してやるぜ!」
重く強い一撃が連打される。
ケイトの体が少しくの字になる。
「効いているぞ!これでも喰らえ!!虎鷗拳!!!」
ビリーの右手が赤く輝く。
ケイトの背中に深く拳がめり込んだ。
ケイトの動きが止まる。
「よし、もう一撃だ!」
ビリーの左手が光り出す。
すると、ケイトは瞬時に振り向いた。
「え…」
ケイトは、ビリーと向かい合う。
あまりの速さにビリーは固まっていた。
「殴り合いなら負けんぞ!」
ケイトは、右手を振るった。
光ったビリーの左手を吹き飛ばした。
「うぎゃあああああっ!!!!」
ビリーは、左手を失った痛みで叫ぶ。
そして、左手をビリーの顎に突き上げる。
ビリーの顎が吹き飛んだ。
ビリーは、地面に倒れた。
勇都は、その間にグランベリーの柄に毒の玉を入れ替えていた。
するとケイトが猛突進して向かってきた。
「小僧。お前の番だ。死ねい!!!」
勇都は、地面にしゃがんだ。
迫りくる熊の巨大な肉体。
勇都は、それを見ながら呟く。
「一か八か。やってみるか。」
勇都は、死と恐怖の最中か、目を反らさずにケイトを見ていた…




