第20話 悪夢…
「えっ…なっ…」
ルイーズのレイピアが折れ宙を舞う。
デススコーピオンの顔は、穴だらけで血が出ていたが動いていた。
デススコーピオンの尻尾がルイーズの脇腹に突き刺さる。
「あ…が…」
ルイーズの体が一瞬で紫色になる。
ルイーズの体は、痙攣していた。
口から泡を吐いて、膝を付く。
ルイーズの意識は全くなかった。
デススコーピオンの両の鋏がルイーズの体を挟む。
するとルイーズの体が鋏で無残にも引き裂かれていた。
観客席からは絶叫が起きる。
参加している冒険者は、皆ルイーズの死を見てその場に凍り付くように固まっていた。
「ルイーズさんが倒された…」
勇都は、自分より実力も格上の冒険者のルイーズが倒されたことがまだ信じられなかった。
(あの尻尾の毒は厄介じゃ。それに外皮も硬い。でもあの毒は欲しいのぅ。)
魔剣グランベリーに変身したサマエルは、デススコーピオンを見て思っていた。
デススコーピオンは、ゆっくりと周囲を確認するように歩く。
「う、うっ。うおおおおおおおっ!!!!」
1人の男がが飛び出した。
上半身裸で体に赤や黒の刺青がある。
手には巨大なハンマーを持っていた。
銀等級の冒険者でバーサーカーのビョルグだった。
ビョルグの全身が真っ赤になる。
肉体を強化し、興奮状態にさせるスキルを使った。
力も数倍上がり体が肥大化していた。
ビョルグは、ブラッドエレファントに向かって走る。
ブラッドエレファントは、立ち止まったままだった。
「サイクロン!!!」
ビョルグは、その場に止まりハンマーを振り回す。
回転が増して音が大きくなっていく。
「この一撃で足を折ってやる。おらあああああっ!!!!!!!」
ビョルグのハンマーがブラッドエレファントの足に物凄い音を立ててぶち当てる。
ブラッドエレファントは、バランスを崩すことなく全く動かずにいた。
「なっ、なにっ。俺の渾身の一撃が効かないなんて…」
ビョルグの顔は真っ青になっていた。
その瞬間だった。
ブラッドエレファントの鼻が鋭く伸びて、ビョルグに向かう。
素早く見えなかった。
ビョルグの首から血が噴水の様に噴き出していた。
観客席に、ビョルグの首が落ちる。
『うぎゃあああああああっ!!!』
観客席は騒然となった。
「ここまで強いとは…もう、笑うしかないな…ハハッ。」
マキャーは、笑っていたが顔が引きつっていた。
ルイーズとビョルグが瞬殺された。
残りの参加者達は、目の前の悪夢がまだ信じられなかった。
今まで戦ってきたモンスターよりも格段に強く差があり過ぎた。
「どうやって倒せばいいんだ。本当に僕達はあの2匹を倒せるのか…」
勇都は、目の前にそびえ立つ蠍と象を改めて見て背筋に寒気を感じていた…




