第18話 蠍と象…
勇都達は、係員に呼ばれゲートを潜り闘技場へと入る。
勇都は、闘技場を見て驚く。
上空に空が見えていたはずなのにそこが鉄の網で覆われていて見えなくなっていた。
観客席は、人々がいっぱい詰まっていて歓声を上げて興奮していた。
闘技場も初級・中級・上級と区分けがされていたのが全く仕切りが無くなっていた。
中央に今までよりも大きな檻が2つあった。
1つは、赤い布で。
もう1つは青い布で完全に覆われていた。
唸るような音や何かが動く音が聞こえる。
(勇都よ。赤い布の方から毒の気配があるぞ。)
魔剣グランベリーに変化したサマエルが勇都に教える。
「へぇ~。何となく見えてきた。俺達は、あの中央の2つの檻の中のモンスターと戦うんだな。」
マキャーは、嬉しそうに語っていた。
他の冒険者達は、黙っていた。
観客席の中で一際目立つ席があった。
来賓や偉い人々が見に来る金色のテーブルや椅子のある場所から1人の男が立つ。
「観客の皆様。私は、闘技場の役員のケイトと申します。いつも闘技場の観戦のご利用を頂きありがとうございます!!」
小太りのおかっぱ頭の男性、ケイトが観客席に向かってお辞儀をする。
「いつも闘技場での戦いは、いつもクラスに区分けして戦っております。が、今回は趣向を変えました。皆様がより興奮と観戦を楽しめるように…」
ケイトは、胸に手を当てて叫ぶ。
「参加している冒険者達は、初級から上級の者を混ぜて集団で、中央にいるモンスターと戦って頂きます。今まで出てきたモンスターよりも強く巨大な物ばかりです。それに、掛け金のレートも上げさせて頂きます。見事に的中すれば皆様に還元する配当も倍でございます!!」
ケイトの話を聞き、観客達は盛り上がる。
「締め切りはお早めに。後20分後に開始します。皆さま、最後まで戦いをお楽しみください!」
再び観客達に会釈するケイト。
ケイトに向かって観客達は拍手をする。
ケイトは、静かに席に戻って行った。
「ふん。歯応えが無かったから退屈だった。丁度いいわ。戦うわ。でも勝つのは当然私よ。」
白い鎧に身を纏い、レイピアを抜いた兎の顔をした種族の女性が前に出る。
上級の部の出場者の冒険者、ルイーズだった。
上位の冒険者で、ナイトだった。
レイピアから繰り出される早業は、稲妻の様だった。
故にライトニングとあだ名で呼ばれている凄腕の冒険者だった。
他にも上級は、ファイターやランサー等も居た。
参加者達は、武器を抜き戦う準備を始める。
「いいねぇ~。燃えてきた。何か楽しくなってきたぜ!」
マキャーも笑いながらダガーを抜いていた。
勇都もグランベリーを抜き構える。
すると何処からかラッパが鳴った。
戦いの始まりの合図だった。
赤い布と青い布が同時に落ちる。
すると檻が現れモンスターが見える。
「げっ…あんなのと戦うのかよ…」
ウィザードの若い男性は、言葉を失う。
赤い布の方には、黒い色をした巨大な蠍がいた。
蠍は、鋏で鉄の檻を斬ろうとしていた。
青い布の方の檻には、巨大な象の姿が見えた。
こちらも色黒で目の色が赤かった。
檻の鍵が係員によって開けられる。
檻の入口が開いた。
すると蠍と象がゆっくりと出てきた…




