第17話 闘技場の異変…
勇都は、サラマンダーに勝利した後、次の日は休養した。
闘技場で戦った後は、1日休まないと戦いに参加できなかった。
戦いが終わり、受付で報酬を貰った。
初級の部とはいえ結構いい金額を受け取ることができた。
1か月は、食費に困らないくらいの額だった。
女神の姿に変わったサマエルと共にカフェ巡りをしたり、ゆったり過ごしていた。
サマエルは、砂漠のスイーツがしょっぱさがありあまりお気に入りではなかった。
そして、翌日、戦いに参加する為に闘技場に向かう。
(よし、勇都よ。今日もわしに腹いっぱい食わせよ。サラマンダーの毒も手に入ったし、今日はどんなモンスターが出てくるんだろうな~。楽しみじゃ!)
勇都の腰の魔剣グランベリーに姿を変えたサマエルが戦いを待ち望んでいた。
「今日は、どんなモンスターが相手なんだろうなぁ?」
勇都は、闘技場に到着した。
戦いに参加する特別なゲートに行く。
「おっ、また会ったなー。」
勇都に声を掛ける者がいた。
狐の顔をした長身の男。
マキャーだった。
勇都は、マキャーに気を許しては居なかった。
立ち止まり様子を見る。
サラマンダーとの戦いが終わった後、マキャーの戦いを見ていた。
檻から出てきたモンスターに真っ先に向かうマキャー。
ダガーを振り回し、モンスターを傷付け、怯んだ所一撃で斬り裂き倒した。
勇都は、戦いを見て確信した。
自分と同じ暗殺のスキルを持つアサシンだと…
「おいおい。何もしないって。疑り深い奴だな~。」
マキャーは、勇都に笑顔を見せる。
勇都は、その笑顔に何か邪悪なものを感じていた。
「ま、今日もよろしくな。頑張って稼ごうぜ。」
そう言ってマキャーは、去っていった。
勇都は、ゲートを入り初級のクラスの控室に向かう。
控室には、戦いに参加する冒険者がいた。
が、今日は何故か少なかった。
勇都を含めても10人くらいしかいない。
闘技場で戦うモンスターは、事前に知らされはしない。
当日にならないとどんなモンスターと戦うのかわからない。
勇都は、戦いの後、係員から聞いたが、サラマンダーは初級のクラスに出るモンスターではなかったと聞いた。
中級のクラス以上から出るモンスターだと聞き驚きを隠せなかった。
弱い部類だったので初級に行ったのではないかと係員は言った。
控室の冒険者達も、いつもと違うと話していた。
勇都は、今日の闘技場の戦いが何かあると予感がしていた。
‐1時間後‐
控室に居た冒険者が次々と呼ばれ出ていき、残っていたのは勇都だけだった。
勇都は、椅子に座っていたが落ち着かない様子だった。
(勇都よ。落ち着けい。心を鎮め楽になるのじゃ。)
サマエルは、勇都に冷静になるように助言する。
「師匠。わかっているんですが、何か嫌な予感がするんです。」
勇都は、サマエルに自分の正直な気持ちを明かした。
すると控室のドアがノックされる。
「モンスターとの戦いの準備は良いですか?」
係員が呼びに来た。
「はい。今行きます!」
勇都は控室から出る。
係員に付いて行く勇都。
初級の試合会場のゲートとは違う方向に向かっていた。
「あ、あの、初級の場所には行かないんですか?」
勇都は係員の男性に質問する。
「はい。こちらの方に案内しろと言われてまして…。理由はよくわからないのですがそのように指示されていて…」
係員の男性も困惑していた。
向かっていたのは、上級のゲートであった。
ゲートの出入り口付近に、冒険者が並んでいた。
10数名居た。
「おっ、来たな。お前もか。」
マキャーが声を掛ける。
そこには、上級や中級クラスの冒険者が勢揃いしていた。
人間も居ればマキャーの様な狐の種族や、兎の種族の冒険者も混ざっていた。
「な、何があるんだ。これから…」
勇都は、これから始まるモンスターとの戦いは初級のクラスの戦いでないと実感していた。
「さぁ~知らねえ。俺も全く聞いてない。いきなりここに集まれ言われたんだよ。ま、こんだけ冒険者のメンツ集めてるんだ。ただの戦いじゃねえな。きっと強いモンスターが出てくるな。」
マキャーは、これから始まる戦いに楽しさを感じ笑っていた。
口から見える歯が鋭く尖り光っていた…




