第14話 サラマンダーVS毒使いアサシン…
(勇都よ。あれは、サラマンダーじゃ。火を使うぞ。あやつを必ず倒せ!あやつの涎には毒の成分がある。人間に掛かれば皮膚が焼けたり解けたりする。唾液は結構重宝するんじゃぞー。)
魔剣グランベリーになったサマエルが興奮気味に勇都に呼び掛ける。
真っ赤な皮膚をした蜥蜴の様なモンスター、サラマンダー。
ゆっくりと勇都に向かってくる。
背中の鰭から火が付き燃えていた。
『行け―!冒険者、有り金掛けたんだ!必ず倒せよー!負けたらただじゃ置かねえぞ!!』
『サラマンダー、強さを見せつけて下さい。冒険者に勝てば飼ってあげるよ。』
観客席から様々な歓声が嵐の様に沸き起こる。
人々が熱狂する中、勇都は静かに息を吐く。
(なるだけ毒のスキルを使わずに倒したい。先手必勝だ。ガンガン行くぞ。)
勇都は、グランベリーを脇に構えサラマンダーに突進していこうとする。
すると、サラマンダーが口を開く。
勇都は、少し熱気を感じる。
砂漠の国でただでさえ暑い。
雲一つない空。
太陽の照り付ける中で、それ以上の熱気を肌で感じる。
サラマンダーの口の中が明るくなり、炎が見える。
(勇都。来るぞ!あれを躱せ!!)
サマエルの言葉が勇都の耳に響く。
サラマンダーの口から炎の塊が勇都に向かい素早く飛んで行った。
勇都自身の顔くらいの大きさの火球だった。
勇都は、それを横に飛んで躱していた。
勇都の居た位置に炎が落ちる。
炎は地面に落ち、柱の様に燃え盛る。
「あ、危な。当たったら大変だ…」
勇都は、背中に大量の汗を掻いていた。
外の暑さではなく、サラマンダーの火の威力のせいだった。
勇都は、サラマンダーに体勢を低くしダッシュして向かう。
するとサラマンダーの尻尾が鋭く素早く振られて勇都に襲い掛かる。
勇都は、後ろに飛び退く。
尻尾が地面を打ち、砂埃を起こす。
勇都は、立ち止まる。
(一撃でも喰らえば大ダメージだ。しかも素早い。気を抜けば負けてしまう。)
勇都は、砂埃が舞う中、グランベリー柄に玉を入れる。
砂埃が完全に消える。
サラマンダーはじっとしていた。
勇都を見ていた。
そして、鳴き声を上げる。
それは、闘技場に高く響き渡る。
観客達は、興奮し、更に声が大きくなる。
「本当に初級のモンスターなのか?とても強い部類に見えるんだけど。」
勇都は、少しずつ前に歩いて行く。
サラマンダーが再び口を開く。
口の中から炎が噴き出していた。
それは、弾丸の様な速さで勇都に向かい発射された。
それと同時に勇都は叫ぶ。
「無音!!!」
勇都の全身に電流が隅々まで走った。
火の玉が勇都に近づいてきた…




