第9話 目指すはオアシス…
勇都は、受付の女性から話を聞く。
「…っていう訳なのよ。わかった?坊や?」
勇都は、女性の話を黙って聞いていた。
受付の黒髪の女性は、オルエと言った。
煙草の煙をわざとらしく、勇都の顔に吹きかける。
「ゴホッ、ゴホ…」
勇都は、咳き込んだ。
オルエから聞いた話は、こうだった。
ギルドに仕事がないわけではないが、簡単なミッションはない。
主にモンスターの討伐ばかりだった。
勇都が倒したサンドワームや、コカトリス等の凶悪で強いモンスター等を倒す内容。
しかも、レベルが30越えが条件で、ソロでの活動は禁止。
あくまで冒険者は、パーティーを組んで行動。
命のリスクを回避するためのギルドの条件であった。
砂漠で採取できる植物も少なく、ギルドに来るのは強い冒険者ばかりだった。
初心者の冒険者や、中堅所は他の仕事をしている。
現実を突き付けられたのだった…
(勇都よ。困ったぞ。わしは腹いっぱいにならないと死んでしまうぞ。お前も…)
魔剣グランベリーに姿を変えているサマエルが勇都に呟く。
ここに来る前にカフェに寄ったが、砂漠の国で出されるスイーツは、固くしょっぱさがあり、サマエルにはお気に召さなかった。
オルエは、煙草を灰皿に押し付け火を消す。
「ま、稼ぐ手段はないこともないんだけど。ただ、確実ではないし危険。上手くいけば大金はてにはいるかも…」
オルエは、髪をかき上げ勇都を見ながら言う。
「それは何ですか。教えてください。」
勇都は、オルエの前に出ていく。
「それはね、坊や。オアシスに行く事よ。」
オルエは、再び煙草を咥えた。
オルエは、顎を上げて勇都に合図する。
「ぼーっとしてないで、火点けなさいよ。坊や。」
「は、はい。」
勇都は、煙草に火を点ける。
オルエは、喫って煙を上に吹かしながら語り始める。
ヒルギスの街から歩いて約2時間の場所に、オアシスと呼ばれる場所がある。
そこは、砂漠の国であるターメリクの中で、水が噴き出し潤う場所であった。
このオアシスには、様々な国の者達が集まる。
冒険者や商人、観光客を含めて…
そこには、娯楽施設がある。
それは、闘技場が存在していた。
この国が平定されてから、娯楽も資源も少ない国で唯一の楽しみとして闘技場が建設された。
人と人の戦い、殺し合いは御法度。
しかし、人とモンスターの戦いは許可が下りていた。
人々は観戦し、盛り上がっていた。
オアシスの街、ピジョンには毎日、闘技場に観客が殺到していた。
人々は、賭けをし上手く勝利できれば大金も手に入れられる。
そこで交流や商売もしている猛者も居た。
冒険者も、資金を稼ぐ為に闘技場で闘う者も多かった。
モンスターにもランクがあり、初級から上級までカテゴリーがあった。
勝てば報酬を得られる。
ランクによって報酬も上がる。
が、決して安全ではなかった。
初級でも負けて亡くなる冒険者も年に何人かいる。
だいぶ少なくはなってきたとオルエは言う。
勇都は、話を聞き終えてオルエに礼を言う。
「ありがとうございました。オアシスに行ってみます。」
勇都は、ギルド砂塵の檻から出て行った。
(とりあえず、行く目的地が出来たの。勇都よ。早速向かうのじゃ。オアシスとやらへ)
「はい、師匠。それしか僕達が生きる手段ないみたいですしね。」
勇都は、オアシスに行く手段を見つけるために動き始めた…




