第8話 旅立ち…
「そうか。気を付けて行けよ。」
ギルド鷲の爪の長、モーリスが勇都に別れを告げていた。
勇都は、ガブとシャナと共に巨人サイクロプスを倒して1週間が過ぎていた。
ガブとシャナは、2日前にノルンの村から旅立って行った。
2人は、この世界の首都に向かう目的があると言い静かに去っていった。
勇都にとっては、とても短い間だったが、ガブやシャナと共に戦いとても勉強になった。
ノルンの村人達に別れを告げ、勇都はモーリスのギルドに来た。
次の国に向かう為に、モーリスに手続きと別れの挨拶をしていた。
「よし、坊主手続きが終わったぞ。ほらよ。」
モーリスは、勇都の鉄等級のカードを返す。
次の国の関所で手続きもスムーズに出来、ギルドで仕事が貰えるように登録をしていた。
「お前には、まだ居てもらいたいんだけどな。まあ、他のダンジョンもあるが検査やレベルの規制もある。それにこの国も立て直しがこれから大変だしな。」
モーリスは、勇都を見て少し寂しそうな表情をしていた。
「それは、そうと中々良い装備になったじゃないか。」
モーリスは、勇都の全身の装備を見回す。
「いやー、モーリスさんのお陰ですよ。いい武器・防具店紹介してもらって。安くもしてもらえて有難かったです。」
勇都は、モーリスに礼を言う。
モーリスの勧めで、次の国に進むために装備をしっかりしていけとアドバイスを貰っていた。
胸や腹の辺りまで守れるチェストメイル。
首には、マントにも姿を変えて纏えるミニネックローブを巻いていた。
手を守るためのナックルガードや、ブーツも新調していた。
衣服の上下も藍色に近い色に統一していた。
「で、今度は何処の国を目指すつもりだ?!」
モーリスは、勇都に目的地を聞く。
すると勇都は口を開く。
「はい、直ぐ隣の砂漠の国、ターメリクに向かおうと思います。」
勇都の次の目的地は、ターメリクに決まっていた。
「そうか、わかった。気を付けていくんだぞ。あの国について色々教えてやるよ…」
モーリスは、勇都に話を始めた…
‐1時間後‐
勇都は、話を終えて鷲の爪の建物から出ようとしていた。
「坊主。良き旅を。命を大事にするんだぞ。ヤバい時は逃げろよ。命があれば失敗してもまた再起はいつでもできる。またこの国に寄ることがあれば必ずここに来いよ!」
モーリスは、勇都に手を振る。
「はい。モーリスさん。色々とありがとうございました。」
勇都は、モーリスに会釈し鷲の爪から出た。
勇都は、ボルシチ王国とターメリクの間の関所を目指す。
ゆっくりと歩いて行く勇都。
腰の魔剣グランベリーが一瞬紫色に光る。
(ああ、もう一度あのカフェの奇跡の金入りケーキ食べたかったのぅ~)
魔剣グランベリーに変化したサマエルが呟く。
「師匠。散々食べたじゃないですか。毎日…」
勇都は、呆れた顔でグランベリーを見る。
(冗談だ。勇都よ、この国にもう未練はないのか?)
サマエルが勇都に質問する。
「はい。色々ありました。大変でしたが。ターメリクに行くのが楽しみで仕方ないですよ!」
勇都は、バーディーの街を出た。
二度と振り返ることなく前に進む勇都であった…




