第5話 一つ目の巨人…
勇都達は、階段を降りて地下10階に着いた。
そこは大きな広間となっていた。
ベルムダンジョンで白蛇と出会った場所よりも少し狭かった。
特に何もない様な場所だった。
が、奥に何かが横たわっているのにガブは気づいた。
ガブは、小声で勇都とシャナに話す。
「あの奥に、モンスターが居る。気を付けよう…」
勇都とシャナは、黙って頷く。
奥に巨大な何かが居る気配を勇都は感じ取っていた。
魔剣グランベリーに変化したサマエルも何かを感じ取る。
(勇都よ。気を引き締めよ。奥に強きモンスターの反応を感じるぞ。いつでも戦えるように準備しておけ…)
サマエルの言葉を聞き、勇都は1人頷く。
パキッ
「?!」
勇都達は、地面からの音に驚く。
歩いて行った勇都達の地面から音がする。
勇都達は、地面を見る。
そこには、人の骸骨や骨が無数に散らばっていた。
(これ、骨じゃないか。沢山あるぞ!)
勇都は、隈なく地面を見る。
人間の骨だけでなく、武器や防具も散らばっていた。
ゴゴゴゴゴ
勇都の前方から大きな音が聞こえてきた。
何かが起き上がり動いていた。
巨大な1つの大きな目が開き勇都達をじろりと見る。
「いかん。お前達、俺の後ろに下がれ!!!」
ガブが勇都達に叫ぶ。
その瞬間に、大きな拳が飛んできた。
ガブは、白銀の盾ヘパイトスで受け止める。
鈍く大きな音が響き渡る。
「ギョエエエエエエッ!!!」
ガブの盾で拳を痛め、叫ぶモンスターが目の前にいた。
「サイクロプスね。これはなかなかの敵ね。」
シャナは、詠唱を始めていた。
勇都達の目の前にいたモンスター。
巨人族のサイクロプスだった。
勇都がベルムダンジョンで出会った白蛇よりも大きな巨体をしていた。
サイクロプスは起き上がった。
2m以上の背で、筋肉の塊だった。
ガブの盾を受けて、サイクロプスの拳から血が流れていた。
片方の手に大きな棍棒を持っていた。
(勇都。多分コイツがここのダンジョンの主じゃ。冒険者達は皆やられたのじゃろう。)
サマエルが勇都に呼び掛ける。
勇都は、グランベリーを抜いて握り構える。
「シャナ、ユウト!俺があのデカブツの攻撃を防ぐ。お前たちは、その隙を見てダメージを与えて行ってくれ。多分俺は、防御に集中するのに精一杯だ。」
ガブの顔が緊張で強張っていた。
「わかったわ。ユウト君。倒すわよ。あのサイクロプスを。」
「はい!」
サイクロプスは、棍棒を大きく振り上げた。
それをガブ達に向かって容赦なく振り下ろしていった…




