第2話 魔剣と盾…
「サマエルよ…久しぶりだな…地上に落とされどのくらい経ったか…」
ガブの白銀の盾が魔剣グランベリーに変化したサマエルに呼び掛けていた。
その声は、勇都やガブには聞こえない。
聞えない様に白銀の盾は、サマエルだけに話しかけていた…
「確か、お主は、防御の神、イージスではなかったか?」
サマエルは、白銀の盾をイージスと呼んでいた。
「覚えていたか。嬉しいぞサマエルよ。」
イージスと呼ばれた白銀の盾は喜んでいた…
防御の神、イージス。
サマエルが天界に居た時に、活躍をしていた神の1人である。
背が高く筋骨隆々の男性で、どんな攻撃も防ぎ、耐久力も高い神だった。
サマエルが天界に居た時に争いがあった。
神々の戦いの中で、奮戦した勝利側の神であった。
サマエルは、あまり会話したことが無かった。
イージスは、寡黙な神であった。
しかし、強い信念と意志を持つ神で尊敬の念を浴びていた。
サマエルが地上に落とされる審判を喰らう前に、何度もサマエルを守るために奮闘してくれていた神の1人であった。
サマエルは、何も悪い事はしていないと最後まで弁護してくれてた神だった…
「皆、サマエルが地上に落とされた時は、落胆していたよ。サマエルが無実と知る神々は多かったのだ。でも俺の力でもどうにもならなかった。すまんな…」
イージスは、サマエルに謝る。
「イージスよ。謝るでない。わしは、この地上に降りてこれて幸せだったのかもしれない。」
サマエルは、穏やかな声でイージスに言う。
「そうか…それならよいが。」
サマエルは、ある事に気づく。
「そういえば、お前は、あの金等級の冒険者のガブの武器になっているではないか。まさかお前も天界で何かやらかしたのか?」
サマエルは、イージスに質問をする。
天界の神が地上に降りてくることは、余程のことが無い限り無かった。
サマエルの様に、罪に問われ追放されたような理由があると…
「ふ、はははははっ。違う違う!」
イージスは、笑っていた。
「俺は、天界の命でこの地上に3年前に降りてきたのだ。たまたま、あのガブと言う冒険者と出会い、神々の武具として変化し旅をしてるのだよ。」
イージスは、白銀の盾ヘパイトスとなりガブの使用する防具として変身した。
しかし、ガブは、自分を防具としてではなく攻撃する武具として使用しているとサマエルに教えた。
「そうであったか…。天界の命とは一体なんじゃ?」
サマエルは、イージスに直球で質問をぶつける。
「お前には教えておく。実は、天界では、地上に不穏な動きを感じ取ったのだ。地上の世界が危機に陥らぬようにと私を含め、何体かの神が人間の為に力を貸してやれと言われて来たのだ。それは、ある存在と戦うためなのだ…」
イージスは、サマエルに語った。
「そうか。それで地上の。いや、人間の脅威となる存在が近づいているのか。それは何なのだ。?」
サマエルの問いにイージスは答える。
「地上に魔王が出てきたのだ。モンスター達を操り、力を蓄え始めてきたのだ。」
「魔王だ…と…」
魔剣グランベリーと聖なる盾ヘパイトスは、勇都とガブの傍らで更に輝きを増して光っていた…




