第5話 戦闘開始…
勇都は、スライムを見つけた。
スライムを倒さないと、近くの薬草を手に入れることができない。
勇都は、ダガーをもって倒しに向かおうとする。
その前に、この世界に来てスライムと戦った事を思い出した…
異世界に来て、右も左もわからなかった勇都。
そんな時に遭遇したスライム。
TVゲームの様な感覚で簡単に倒せると思っていた。
が、甘かった。
スライムは、ゆっくりと動いたが予測がつかなかった。
突進しようとした勇都。
その瞬間に、スライムから突然液体が発射された。
それを躱す勇都。
勇都は、背筋が凍った。
スライムの液体は、自分の後ろの木に当たった。
その木が溶けていた。
勇都は、恐怖で体が動かなくなっていた。
(やばい、う、動け。スライム倒さないと死ぬぞ…)
スライムはゆっくりと勇都に迫る。
勇都は、身体が動かしたくても動かせない。
スライムが、あと1メートルまで迫ってきた。
勇都は、全身汗だくになり頭の中は真っ白だった。
(来たばかりの世界で俺は死んでしまうのか?冗談じゃない。俺はまだ死ねない!)
「わああああっ!!」
勇都はなりふり構わずダガーを振り出した。
スライムに近づかれない様に必死に振り回した。
するとダガーの切っ先がスライムに掠った。
スライムは、その場で消滅した。
勇都は、スライムに勝った。
はじめての経験、戦闘だった。
でも、勝利の喜びはない。
恐怖と情けなさで一杯だった…
勇都は、過去の出来事を思い出す。
あんな無様で、惨めな思いはしたくない。
スライムに苦戦することなく戦闘を終えたい。
どうしたらいいのか勇都は考えてしまった。
(ん、そういえば。)
勇都は、我に返り、指先でステータス画面を開く。
特殊能力の欄にある文字が書いてある。
気配隠蔽。
(使ったことないけど、やってみるか。どうやって使うんだろう?とりあえず言ってみるか?)
「よし、行くぞ。け、気配隠蔽!」
すると勇都の身体に電流の様な衝撃が走る。
「うっ!」
電流の衝撃で一瞬苦しかった。
しかし、何故か体が軽い。
そして、身体の感覚が全くない。
空気の様なフワッとした感じが全身に纏わりつく。
(せ、成功したのかな?)
勇都は、恐る恐るスライムに近づく。
(気づいていないみたいだな。こちらの存在を。)
勇都は、ダガーを握りしめてスライムにゆっくりと近づいて行った…