第19話 勇都、ゼノンと対面す…
勇都は、宰相ゼノンの館に着いた。
館の正面の門は、スケルトンが3体守っていた。
裏口は、ゾンビが4体ほど徘徊していた。
「なかなか厳しい状況じゃ。どうやって館の中にはいっていくかな?」
魔剣グランベリーと化したサマエルが勇都に質問する。
「正面突破したいですが、スケルトン達が邪魔しています。入る前に気配隠蔽が切れたらそれまでです。でも、後ろの裏口は、ゾンビが徘徊してますが隙を付けるんじゃないかと…裏口から行きたいと思います。師匠。」
勇都は、サマエルに裏口から突破していく考えを明かした。
「…確かに。他に出入り口もないしこれと言った方法がない。それで行こう。」
サマエルは勇都の考えに従う事にした。
(気配隠蔽もあと3回までだ…使いどころを間違えない様にしよう。素早く潜入だ!)
勇都は、ゆっくりと裏口へ向かう。
木の陰から裏口を見る。
ゾンビが4体いた。
ゆっくりした動きであたりを徘徊している。
「気配隠蔽!!!」
勇都は、姿を消して素早く走った。
ゾンビ達を抜けて、裏口に入っていく。
木の扉を見つけ、勇都は進む。
(あそこから入って見よう。)
勇都は、扉のノブに手を掛ける。
すると鍵は掛かっていなかった。
ゼノンが警戒を怠るはずがない。
侵入者を待ち受ける罠なのかもしれないと勇都は思い始めた。
(いや、迷わずに行こう。行けばわかるさ…)
勇都は、木の扉を開けて入っていった。
するとそこは調理場だった。
人は誰も居なかった。
勇都は、しゃがみながらゆっくりと進む。
(慎重に行こう。落ち着いて行けば大丈夫さ。)
勇都は、自分自身にそう言い聞かせて歩く。
気配隠蔽の効果が切れ、姿が見えた。
勇都は、調理場を出て右側の通路を進んだ。
すると1階の大広間が見えてきた。
そこには、ゾンビやスケルトンが10体いた。
勇都には気づいていないようだった。
広間から、2階に上がる階段を見つける。
他に上に登る手段はそこしかなかった。
「気配隠蔽!!!」
勇都は、姿を消して走る。
ゾンビやスケルトンの脇を抜け、階段を上がる。
ポール達から、ゼノンは3階の部屋にいると聞いていた。
勇都は、2階をスルーし、そのまま3階へ向かう。
「はあ、はあ、はぁ…」
勇都は、3階に登り切って息切れをしていた。
周りは誰も居なかった。
一際目立つ大きな部屋の扉を見つける。
真っ黒く赤い装飾が所々に入っていた。
(勇都よ。あの場所に宰相ゼノンがいるはずだ。覚悟は良いか?)
サマエルが聞いてきたと同時に、勇都の気配隠蔽の効果も終わり姿が見えた。
(師匠。大丈夫です。危険だと思ったら逃げますから。)
勇都は、息を整えて扉に手を掛ける。
扉をゆっくりと開けた。
そこは、部屋だった。
左右にゾンビやゴブリン達が居た。
中央に1人のローブを着ている男が背を向けていた。
「誰だ?!ここに入る命知らずの侵入者は…」
男は、勇都を鋭い目で睨んできた。
(この男が宰相ゼノン…)
勇都は、ゼノンを見て全身が固まっていた。
ゲルナー王を捕らえ、ボルシチ共和国を狂わせた元凶。
宰相ゼノンが存在していた…




