第17話 地下牢での戦い…
「冒険者よ!あいつがここの番人だ!!腰に牢屋の鍵がある。何人もの冒険者や兵士が助けに来てくれたが皆あいつの餌食に…」
ポールが青ざめた顔をして勇都に言う。
スケルトンが骨の音を立ててゆっくりやってくる。
勇都より少し高いくらいの背丈。
顔も、腕も、足も太い骨だった。
スケルトンは、片手に斧を構える。
「勇都よ。残念ながら死人達にはわしの毒は通用せん。あいつの攻撃を上手く躱して何とかせねばやられるぞ。」
魔剣グランベリーのサマエルが勇都に言う。
「はい、師匠。何とかやってみます。」
勇都は、気配隠蔽を使おうとしたが、スケルトンは間近に迫っていた。
もう間に合わないと悟っていた。
スケルトンは、片手の斧を振りかぶる。
「今だ!」
勇都は、スケルトンに向かってダッシュする。
スケルトンは、勇都に向かって斧を振り下ろす。
勇都は、直前で斧を躱しスケルトンの横に並ぶ。
「はっ!」
勇都は、グランベリーでスケルトンの顔を鋭く突いた。
ガキッ
スケルトンは、手でグランベリーの先端を受け止める。
「硬い!!」
勇都は、素早くグランベリーを引く。
あまりの骨の硬さに手が痺れる。
サマエルが変化した強度の高い神の武器でなければ簡単に折られていただろう。
勇都は、しゃがんでスケルトンの胴を斬りつけていく。
ガリッ
勇都は、スケルトンの肋骨を斬ったが表面が傷付いただけだった。
スケルトンが、片手で勇都を殴ろうとする。
勇都は、スケルトンの拳をしゃがんで躱す。
スケルトンの拳が壁にめり込む。
穴が開いていた。
スケルトンの破壊力に勇都は驚いていた。
(ヤバいぞ!一撃貰えばやられてしまう…)
勇都は、背中に嫌な汗を掻いていた。
勇都は、グランベリーを構えスケルトンの正面を見る。
スケルトンは、口をカチカチ鳴らし、勇都に迫る。
「勇都よ!スケルトンの胸の辺りが見えるか?あの胸の核を付けば倒せるかもしれないぞ!」
サマエルが勇都に助言した。
勇都は、スケルトンの胸の辺りを見る。
丁度、人間でいう心臓の位置。
そこに薄っすらと赤い球の様な光が見えていた。
「ネクロマンサーは死人を操る術を持つ。ひょっとしたら心臓の辺りに何かを入れてそこで操作しているのかもしれない。そこを攻撃すれば勝機がある。できるか?」
サマエルは勇都に言う。
「はい、師匠!」
勇都は、グランベリーを片手で持ち低くかがんだ。
スケルトンは、再び勇都を見て斧を振りかぶる。
「うおおおおおっ!!!」
勇都は、凄い勢いでスケルトンの前に飛び出ていく。
あまりの速さに動きが止まるスケルトン。
勇都は、スケルトンに向かってスライディングしていく。
スケルトンの股の間を潜り抜ける。
勇都は、グランベリーの柄でスケルトンの右足の脛を思いきり叩いた。
ガコン
「よし!!」
勇都の一撃で足の骨が外れる。
膝から下の足が地面に落ちた。
スケルトンは、バランスを崩し牢屋の鉄格子にもたれ掛かる。
片足を無くしながらもゆっくりと立ち上がり勇都を向くスケルトン。
勇都は、起き上がりグランベリーを構える。
するとスケルトンの動きが止まった。
「冒険者よ。今だ!」
「私達も長くは持たんぞ!!」
ポール達が牢屋から手を伸ばし、スケルトンの動きを止めていた。
ポールは、腕の骨に抱きついて止めていた。
テッド卿は、下から腿の骨を掴んで抑えていた。
「ここで決めるっ!おおおおおっ!!!」
勇都は、スケルトンの胸に向かってグランベリーを突き刺す。
胸骨の隙間にグランベリーが鋭く入っていく。
勇都は、ゼリーの様な感触をグランベリーを通して感じる。
胸の赤い球の部分を貫いた。
すると、スケルトンが急に動きを止める。
そして、骨が地面に落ちていく。
骨が音を立ててバラバラに散乱した。
持っていた斧もカランと音を立てて地面に転がる。
スケルトンが再び勇都を攻撃してくることは無かった…




