第6話 闇夜の豚…
ビルは、自白の毒で勇都に語り始める。
「さ…宰相…ぜ、ゼノン様は、ボルシチ共和国を我がも、ものにすべく、歯向かう者は、排除しはじめた…」
ビルは、勇都に話すつもりはなかったが次第に頭が真っ白になってきた。
「そうですか。バーディーの街に入りたいんですがどうやって入ればいいのですか?」
勇都は、目が虚ろになってきたビルに再び問う。
「い、入口…門はも、モンスターやゼ、ゼノン様の呪術で通れない。誰も通ったものいない…入口、ゼノン様の配下でないと誰も…入れない。ど、ど、どうしても中に入る…なら…ち、地下から…」
ビルは、体を揺らしながら勇都に話していく。
「バーディーの街の人達は、生きているの?」
「ああ…い、生きている…」
勇都は、様々な質問をぶつけ、ビルから回答を得る。
(勇都よ。そろそろ自白の効果の時間が終わるころじゃ。)
魔剣グランベリーになったサマエルが勇都に知らせる。
「じゃあ、最後に聞くよ。宰相ゼノンは今、何処にいるの?」
ビルは、白目になりながら話し始める。
「ゼ、ゼ、ゼノン様は、こ、国王の…」
その時だった。
「勇都。その場から離れよ!!」
サマエルが勇都に叫ぶ。
勇都は、只ならぬ危機を察知する。
後ろに飛び退いてビルの傍から離れる。
すると、黒く丸い球体がビルに直撃する。
「ぎゃああああああああっ!!!!!」
ビルの体が煙を上げて溶け出していった。
苦しそうにのたうち回るビル。
「あ、あ、あ、あ…」
ビルは、全身が溶けて死んだ。
残ったのは、骨だけとなった。
一瞬の出来事が信じられない勇都。
黒い球体が飛んできた方向を見る。
すると暗がりに誰かが居た。
全体が太っているような者がこちらを見ていた。
暗がりでよくわからないが、腹が出ていた。
太った女性のような姿。
顔は、豚の様な感じであった。
「ブフッ、ブフフフフッ」
その異形の者は、笑っていた。
そして、その場を走り去っていった。
勇都は、追いかけようとした。
「勇都よ。まずはジャバリエ達に報告しよう。」
サマエルに追跡を止められた勇都。
勇都は、走り去った豚の様な異形を呆然と見ていることしかできなかった。
森の中を走る豚。
月明かりが森の中に差し込む。
「ブフフ。排除、排除♪ゼノン様に報告ー!!!」
明かりに照らされた豚の顔。
その表情は、不気味な笑みを浮かべていたのであった…




