第5話 毒の自白…
オーク達を倒されて必死になって逃げるビル。
そのビルを勇都は無音を使い追いかけていた。
ビルは、勇都の存在に気づかない。
(勇都。今じゃ。あやつを斬れ。)
魔剣グランベリーに変化したサマエルが勇都に指示する。
グランベリーの柄に、明るい紫の色をした球体をはめ込む。
勇都は、ビルの右の二の腕を斬りつけた。
ヒュン
「あっ、痛い!!」
ビルは、右腕に痛みを感じ抑える。
振り向くビル。
するとそこには、魔剣グランベリーを突き出した勇都が居た。
「ひ、ひいっ…お、おまえ何者だ?!」
ビルは怯えて勇都を見る。
「こんばんは。ちょっとお聞きしたい事があって…」
勇都は、ゆっくりとビルに近づく。
「お、おまえ。あのノルンの村の冒険者達の仲間か。な、なにが目的なんだ。」
勇都からゆっくりと下がっていくビル。
「僕は、バーディーの街に行きたいんですよ。街が今、どうなっているのか?それに宰相のゼノンさんの事も聞きたいんです。教えてください。」
勇都は、グランベリーをビルに向けて迫る。
「い、言うものか。何故お前のような若造に教えなきゃいけないんだ!」
ビルの表情が険しくなり、勇都を睨みつける。
「あ、もう少しで教えてくれると思うから待ってます。」
ビルは、勇都の言葉が良く理解できなかった。
次の瞬間だった。
ビルの体が急に痺れ始めた。
「な、何だこれ?!」
ビルは、その場に立っていられなくなり膝を付いていた。
体中に痺れ。そして、気持ち悪さが現れ吐き気がしてきた。
一番辛いと感じたのは、口の辺りの感覚がなくとても痺れていたことだった。
「あ、う、あ…が…」
ビルの全身が痙攣し始める。
「大丈夫です。死にはしません。これから僕の質問に答えてもらいます。」
勇都は、ニコリと笑いしゃがんでビルを見る。
ビルは、自分の身体に何が起きているのかわからなかった。
「今、毒が体の中に入ってます。これ、ラザニア王国で取れたキキョウアサガオって種類の毒です。これ、自白させる為の毒なんです。結構強い毒なんですよ。全身も麻酔みたいに痺れさせて凄い効果があるんです。これから質問します。色々教えてくださいね。」
勇都は、ビルの顔をじっと見る。
(自白の毒だと。ふざけるな!絶対言わないぞ!!)
ビルは、勇都に対し抵抗を見せていた。
「今、バーディーの街はどんな状況になっているのですか?」
勇都はビルに質問する。
ビルは、無言を貫こうとした。
すると口が勝手に開き出した。
そして、言葉を話し始める。
(おいおいおい!!!ちょ、ちょっと待て。俺は話さないぞ!な、何で口が開く。そしてしゃべっているんだ?!)
ビルは、自分の意志とは無関係に口が動き始める。
(や、止めろ。止めろ!言いたくはない。止めろぉおおおおおっ!!!)
ビルは、心の中で拒否する。
「バーディーの街…今は、宰相ゼノン様の手で治められて…る。街は誰一人進入…させない様にしている…」
ビルは、勇都の質問に答え始めるのであった…




