第12話 真実…
勇都は、フレッドに連れられて村長の家に向かう。
村長の家の戸を叩くフレッド。
すると、白髪で長い顎髭の年老いた男性が現れた。
ノルン村の村長、ジャバリエだった。
冴えない表情で、暗く眉間に皺を寄せていた。
ジャバリエは、勇都達を家の中に招き入れる。
フレッドは、勇都の事について軽く紹介した。
「フレッドの子供を助けた旅のお方を粗末にはできんな。では、このボルシチ共和国とノルン村の事についてわかる限りお話をしよう…」
ジャバリエは語り始めた。
ボルシチ共和国は、ラザニア王国よりも3分の1程の小さな国だった。
果物が多く獲れる国で、各国に輸出し収益を得ていた。
加えて、温泉も各地にあり、他国から観光客も多く潤っていた。
そんな中、ノルン村では、奇跡の金と呼ばれる極上のりんごを栽培していた。
高値で取引され大人気であった。
村中でりんごの生産に力を入れていた。
りんごが売れた収益がノルン村に入り村は発展していった。
ボルシチ共和国の国王ゲルナーは、穏やかで理解ある人物であった。
奇跡の金の栽培には、助力や援助を自ら進んで協力をしてくれていた。
しかし、1年前から異変が起きる。
バーディーの街の城に住んでいたゲルナーが突然城から出てこなくなった。
奇跡の金の取引でりんごを運び、バーディーの街に行くが追い返されてしまった。
そして、そこから各地にモンスターが出没し始めた。
最初は、直ぐに鎮圧されるだろうと思っていた。
が、モンスターの襲撃で命を落とす者も増えてきた。
更にノルンの村にも異変が起きた。
奇跡の金を売ることが出来ずに村中が困っていた。
ある日、ゲルナー王の宰相から連絡が来た。
毎月1回、夜に奇跡の金を1000個献上せよと…
渋々、それに従うノルンの村。
するととある者達がやって来た。
それは、人間ではない異形の者。
モンスターであった。
大きく獰猛な人の言葉を話すオーク達だった。
オーク達は、それを食べながら回収していった。
お金を払う訳でもなく…
ノルンの村は、困窮してきた。
村の者達は、ゲルナー王に直訴しに行った。
が、戻ってくる者は誰1人いなかった。
大人数で栽培する奇跡の金を作るのも厳しくなってきた。
それでもオーク達は必ず回収に来る。
金銭を要求してもそのうちに支払うと言い残し去っていくオーク達。
この状況がずっと続いて村が寂れたと…
ジャバリエは、涙目になっていた。
「今夜、オーク達がやってくる。村長限界だ!」
フレッドは、テーブルを両手で叩く。
勇都は、ジャバリエに質問する。
「村長。その宰相の名は何て言うんですか?」
村長は、勇都に教えた。
宰相の名は、ゼオンと…




